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斉藤すず『バレットコード:ファイアウォール』1巻感想

 

君を護る。この命にかけて。

 

どうも、トフィーです。

 

今回は、斉藤すず先生のライトノベル『バレットコード:ファイアウォール』を紹介させていただきます。
『このライトノベルがすごい! 2022』文庫部門・第10位にランクインした作品です。

 

熱いバトルもあり、純愛もあり、好みにぶっ刺さった設定もありと、個人的に好みな要素がてんこ盛りの作品でした。
めちゃくちゃオススメの1冊です。

 

 

1.あらすじ

これは、VRではなく本物の戦争である。死んだらそこで――人生は終わる。

『プロジェクト・ファイアウォール』。
それは戦争の悲劇を防ぐため、青少年に課されることになった『VRによる戦争体験学習』。単なる「ごっこ遊び」の域を出なかったはずのその実習は、ある日唐突に混沌のプログラムと化した。
予定されていない兵士――否、人ですらない「謎の敵」の急襲、そして迫り来る「現実での死」の危険……。
高校のクラスメイトとともに、この異常事態に巻き込まれた少年・古橋優馬は、世界4位の成績を持つ兵士で、『フロストバイター』の異名を持つ少女・雨宮千歳が率いるチームに助けられる。
衝突や悲劇を乗り越え、プロジェクトの真相に迫っていく彼らが最後に見るものとは――!?

引用:バレットコード:ファイアウォール (電撃文庫)

 

 

2.感想・レビュー

a.個人的評価と関連情報 

個人的評価:★★★★★
電撃文庫
2021年2月刊行
『このライトノベルがすごい! 2022』文庫部門・第10位/新作部門第6位

 

作者は、斉藤すず先生。

第25回電撃小説大賞《読者賞》を受賞し、『由比ガ浜機械修理相談所』 (電撃の新文芸)を発表されています。

 

話を『バレットコード:ファイアウォール』に戻しますがが、『このライトノベルがすごい! 2022』文庫部門第10位、新作部門第6位にランクインしています。
また、すでに第2巻も刊行されています。

www.kakidashitaratomaranai.info

 

イラストレーターは、緜(わた)先生。

『きみは本当に僕の天使なのか』 (ガガガ文庫)や、『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』(GA文庫)なども担当されています。

 

b.内容紹介

★5つとさせていただいている通り、めちゃくちゃ面白かったです。
個人的には昨年読んだラノベの中でも、一二を争うくらいに好みの物語でした。

 

 

 

ストーリーについては上のあらすじの通りですが、もう少しだけ詳しく触れます。

 

各国の青少年を強制的に、かつ同時にVR空間の中に押し込め、戦争を実体験させるプロジェクト:ファイアウォール

 

この物語の世界では、二年前に核戦争が起き、100万人の死者・行方不明者が亡くなっています。
それにより反戦ムードが高まり、悲劇を繰り替えさせないようにするための体験学習プログラムが求められるようになりました。

 

当初は戦争に巻き込まれた人の経験談を聞くことによる学習が予定されていましたが、その人の背景によって話が捻じ曲げられ脚色が加えられる恐れがあるというクレームが噴出。
その結果、国連主導でVRを使ってリアルな戦争をそのまま体験させようというプログラムが計画され、『プロジェクト・ファイアウォール』の名で実行に移されたのでした。

 

主人公の古橋優馬(ふるはしゆうま)は、自身の通う桜丘高校が選抜されたことにより、クラスメイトとともにVR空間の戦場へと身を投じることになります。
プログラムを完遂した場合、大学への進学権や奨学金が出されるということもあり、優馬を含めたクラスメイトはプログラムを乗り切ろうとしていました。

 

しかし、異常な現象が優馬たちに降りかかります。
上陸を目指す舟艇の上で、とつぜん引率の大人たちが自死を遂げ、正体不明の棘によりクラスメイトが虐殺され始めたのです。

 

この異常な現象を受け、VR空間内で戦死したら消えるはずの遺体が残り続けていること、大人たちが死の直前に「本物の戦争だ」と告げていたことから、優馬は自分たちが体験学習ではなく命を欠けた本物の戦争に巻き込まれたのではないかと考えるようになります。


やがて優馬は落水し、幼馴染たちともはぐれてしまいます。
それから意識が戻り、荒廃した東京に辿りついたかと思えば、偉業の化物と相対することに。

 

ピンチに陥る優馬でしたが、突如現れた世界第四位の成績を持つ少女・雨宮千歳(あまみや ちとせ)の率いるチームに助けられたのでした。
そこから彼の、死と隣り合わせの戦いが幕を開けます。

 

……と、以上がこの物語の導入になります。

 

 

自分はこのラノのトップ10にランクインしていることで、この作品に興味を持ち読むことを決めました。
実はこのラノが発売する前にも、Twitterで何度か流れてきたこともあり、表紙やタイトル自体には見覚えがありました。

 

ただ、その時の自分は、あまりよくない言い方かもしれませんが、「なんだ、よくあるVRものか」と思ってスルーしていました。
けれども実際に読み進めてみると、もっと早く手に取っておけばよかったと後悔することになったわけです。


というのも、このラノで好みのタイプの作品だということを察して手購入し、いざ読んでみると、期待以上にバトルが熱く、また胸を焦がすような純愛要素に魂が震わされたのです。


いや、本当に面白かったです。
スピード感もあり、絶望的な状況のなかで紡がれる仲間とのドラマが感動的。
自分の好きな要素がこれでもかと詰め込まれていました。

 

また、ヒロインの千歳が、とにかく愛らしいキャラクターでぶっ刺さりました。

 

カラー絵にもあるので、そこまでネタバレにならないと思うので軽く触れますが、彼女は二つの顔を有しています。

 

一つは、『フロストバイター』として兵を率いる、厳格で凛々しいリーダーとしての顔。
普段の千歳は、このフロストバイターとしての性格を前面に出して振舞うことにより、部隊の仲間からは厳しいリーダーとして認識されています。

 

そしてもう一つは、華憐で儚い、小動物のような少女としての顔。
部隊に合流した優馬は、その日の夜に千歳に呼び出されて、このもう一つの顔を知ることになります。

 

なぜ彼女に仮面があるのか、なぜ優馬にはもう一つの顔が明かされたのか、これ以上は本編でお確かめいただきたいので伏せますが、自分は千歳というキャラクターに完敗しました。
うん、マジで可愛かった。
展開もさることながら、極めて繊細なキャラ描写が千歳の魅力を押し上げていました。

 

うん、みなさんも読みましょう(直球)

 

www.kakidashitaratomaranai.info

 

※ここから先は結末までのネタバレを含む感想となります。 
未読の方はご注意ください。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

3.ネタバレありの感想

「こういうのが読みたかったんだ」

 

この物語を読み終えてしばらくの間、そんな感想を胸に抱いて余韻に浸っていました。
それくらいに満足する終わり方でした。

 

幼馴染たちと死別し、化物により千歳と引き離され、再会して気持ちが通じ合い、しかしまた別れてしまう。
そんな過酷な運命に翻弄される優馬と千歳を見ているうちに、心の底から二人が幸せになれるような未来を切望していました。

 

だからこそ、最後の戦いを乗り越えたあとのあのエンディングが本当に綺麗で、読了後の満足度は過去最高潮。
余韻に浸るあまり、ついブログの更新を遅らせてしまいました。(というのは嘘でブログは普通にサボりました)

 

読み終わってから見返すと、タイトルと表紙がまた違った見え方をしてそこもまた面白かったです。
章タイトルの「98147523の血と汗と涙」のネーミングがなんともニクい……!

 

すでに2巻も購入していますので、またそのうち感想をあげます。
2巻は1巻以上に面白いというツイートをたびたび目にするので、これよりもっと上の面白さがあるのかとワクワクしています。