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「連合王国よりも先に、人類を宇宙へ到達させよ」
どうも、トフィーです。
今回は、牧野圭祐先生の『月とライカと吸血鬼』第1巻の内容について紹介していきます。
16年12月に購入して以来、ずっと積んでしまっていたのですが(本当に申し訳ございません!)、アニメ化決定ということで掘り出してみました。
「いや、なんでこれを積んでしまっていたんだ……」と後悔するくらい面白い物語でした。
ということで、今さらながら感想などをまとめましたので、よければご覧ください。
1.あらすじ
宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女の物語。
人類史上初の宇宙飛行士は、吸血鬼の少女だった――。
いまだ有人宇宙飛行が成功していなかった時代。
共和国の最高指導者は、ロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。『連合王国よりも先に、人類を宇宙へ到達させよ!』と息巻いていた。その裏では、共和国の雪原の果て、秘密都市<ライカ44>において、ロケットの実験飛行に人間の身代わりとして吸血鬼を使う『ノスフェラトゥ計画』が進行していた。とある事件をきっかけに、宇宙飛行士候補生<落第>を押されかけていたレフ・レプス中尉。彼は、ひょんなことから実験台に選ばれた吸血鬼の少女、イリナ・ルミネスクの監視係を命じられる。
厳しい訓練。失敗続きの実験。本当に人類は宇宙にたどり着けるのか。チームがそんな空気に包まれた。
「誰よりも先に、私は宇宙を旅するの。誰も行ったことのないあの宇宙から月を見てみたいの」
イリナの確かな想い。彼らの胸にあるのは、宇宙への純粋な憧れ。上層部のエゴや時代の波に翻弄されながらも、命を懸けて遥か宇宙を目指す彼らがそこにはいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が紡ぐ、宙と青春のコスモノーツグラフィティがここに。
【編集担当からのおすすめ情報】
『HiGH&LOW』や『ペルソナ5』などの脚本・シナリオに携わった、牧野圭祐が送る最新シリーズ! 宙に憧れる人間の青年と吸血鬼の少女が人類史上初の有人宇宙飛行を目指します。〈飛空士シリーズ〉のような切なさと爽やかさのある宇宙と青春の物語にご注目!
2.『月とライカと吸血姫』ラノベ第1巻のレビューと内容紹介
a.評価と情報
個人的な評価:★★★★★
ガガガ文庫
2016年12月刊
『このライトノベルがすごい!2018』文庫4位
2021年アニメTVアニメ化(制作:アルボアニメーション)
作者は牧野圭祐(まきの けいすけ)先生。
牧野先生は、今作と同じくガガガ文庫から『フリック&ブレイク』を発表されていたり、他にもゲーム『ペルソナ5』のシナリオチームなどを担当されている方です。
イラストは、かれい先生。
電撃文庫より刊行されている『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求』のイラストも担当されています。
さて、『月とライカと吸血姫』の話へと戻りましょう。
冒頭でも触れたように、今作はアニメ化が発表されています。
このラノ文庫部門4位にも選ばれていることから注目されていた作品ではありましたが、アニメ化発表時のPVで、ヒロインのイリナ・ルミネスクを林原めぐみさんが演じることが判明し、それも含めて話題になっていました。
個人的にはPVを見た感じ、期待大です。
b.ストーリー・キャラクター紹介
心の機微の描き方が非常に丁寧で、先へ先へと読ませる力の強い、読み応えのある物語でした。
主人公とヒロインのやり取りにユーモアがあり、最後では感動のあまり手が震えました。
ぼくは、気に入った表現や面白かった箇所にちくいち付箋を貼っていくという、ちょっと変わった読書スタイルをしているのですが、今回の付箋の量は過去最高クラスだったと思います。
それくらいに大満足の作品で、まごうことなき傑作だと感じています。
マジでもっと早く読んでおくべきだった……。
それでは感想はこのあたりにして、あらすじとも若干被りますが以下がストーリーの内容紹介です。
主人公は、幼い頃から宇宙に憧れ続けている青年レフ・レプス。
彼はとある理由から上官に暴力を振るってしまい、共和国の宇宙飛行士候補生から補欠に成り下がってしまっていました。
そんなレフですが、突然中将に声を懸けられ、所長室へと呼び出され、ある計画を聞かされます。
その内容は、敵対国よりも早くに人類を宇宙へと到達させるため、吸血鬼(ノスフェラトゥ)を宇宙へ打ち上げるというもの。
共和国はいち早くの『祖国の人間』の宇宙到達にこだわる一方で、万一搭乗員が亡くなってしまった際の世界からの非難を気にしていました。
そこで白羽の矢が立ったのが、吸血鬼。
吸血鬼は人ではないため万一のことがあっても非難されず、また『人類初の偉業』にはカウントされないため、安心してリスクの分析に使用できるという判断です。
レフはどういうわけか、その吸血鬼の訓練を担当するマネージャーに抜擢されたのでした。
吸血鬼は『呪われし種』として認識されており、レフ自身も幼いころから様々な言い伝えを聞かされていたため、内心ビクビクです。
しかし、吸血鬼の少女ーーイリナ・ルミネスクに実際に会って話をしてみれば、聞かされていた内容のほとんどが誤解であり、吸血鬼のイメージが勝手に人間により作られたものであることに気づきます。
実験体である吸血鬼はモノ扱いせよ。
そのような命令を受けていた主人公ですが、意地っ張りでツンツンした態度のイリナと一緒に時間を過ごしていくなかで、葛藤を抱えていきます。
またイリナも人間嫌いの吸血鬼でしたが、徐々に態度を変化させていくのでした。
はてさて、策謀渦巻く世界の中で、二人の関係はどのように変化していくのか。
そして、イリナは無事に宇宙へと到達できるのか。
それは、ぜひ本編でご覧ください。
3.『月とライカと吸血姫』ラノベ第1巻ネタバレありの感想
感動できるポイントやグッとくるポイントがいくつもあったので、中でも印象に残った箇所をピックアップしていきます。
➀P195のイリナの台詞
「私が熱さに弱いの知ってるわよね?」
引用:『月とライカと吸血姫』第1巻
吸血鬼の熱さに弱いという特性と、熱く語るレフの姿に心を傾かせているようなニュアンスがおそらく含まれていて、グッときつつも「うまいなぁ」と唸らされました。
このようなセリフ回しも本作の見どころだと思います。
➁P256で明かされるナタリアの正体
ナタリアが「運送屋」であることは、検査のシーンでうすうす、バーのシーンで「これ、やっぱり……」と勘づきはしました。
(と言いつつも、牢に足を運んだ人物がレフの恩師の可能性も考えました。)
それでも、鳥肌が立つほどに面白い。
わかっていても面白く感じるってこれは相当のことで、このあたりで★5が確定した感があります。
➂P279のナストイカ
……つぎに、おいしい飲み物を、皆さんに教えてあげるわ
引用:『月とライカと吸血姫』第1巻
説明不要。
ここからの流れが、本当にもうセンスの塊。
……と、こんな感じで個人的にはこの3つのシーンがとりわけ印象に残りました。
イリナも無事に宇宙から帰還できて、感動のハッピーエンド。
この続きを2巻を購入して読むか、それともアニメを見てから原作に戻るのかは、もう少し悩むことにします。