どうもトフィーです。
今回の記事では、ライトノベル新人賞の「タイトル変更」についてまとめました。
読者のニーズ、流行り、検索のしやすさ、目につくかどうか、記憶に残りやすいものかどうか……。
色々な考えがあってのことかとは思いますが、受賞時点と刊行時点でタイトルが変わるということは、ラノベにおいてそう珍しいことではありません。
たとえば、あの有名作品『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』が、もともと『ファミリア・ミィス』だったのは、ラノベ界隈ではいまや有名な話かと思います。
この記事では直近の新人賞受賞作品に絞って調査を行いました。
結論だけ先に述べておきますと、ほとんどの作品がタイトル変更されていることがわかりました。
以下にレーベルごとに詳しくまとめておりますので、なにかの参考になるかはわかりませんが、よければどうぞご覧ください。
※ラノベのタイトルについてですが、「賞 受賞時点のタイトル → 刊行時点のタイトル」のように表記しています。
また変わっていない場合は、(変更なし)と記載しております。
※「小説家になろう」や「カクヨム」などの作品を対象としたWEB作品の賞については、今回取り上げておりません。
- 第26回電撃小説大賞
- 第32回ファンタジア大賞
- 第15回MF文庫J
- 第14回小学館ライトノベル大賞
- 第11回GA文庫大賞
- 第6回オーバーラップ文庫大賞
- 第13回HJ文庫大賞
- 第8回講談社ラノベ文庫新人賞
- 第25回スニーカー大賞
- ライトノベル新人賞受賞作品の「タイトル変更」についての総まとめ
第26回電撃小説大賞
まず最初に電撃小説大賞を調査いたしました。
電撃文庫はラノベレーベルの中でも超大手で、応募総数も4千以上と他とは一線を画します。
さてそんな電撃小説大賞ですが、いったい何作品のラノベのタイトルが変えられていたかというと……。
7作品中、4作品がタイトルを変更されていることがわかりました。
大賞 『声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?』(変更なし)
金賞 『豚のレバーは過熱しろ』(変更なし)
銀賞 『灼華繚亂』→『少女願うに、この世界は壊すべき~桃源郷崩落~』
銀賞 『天国のラジオ』→『こわれたせかいの むこうがわ ~少女たちのディストピア生存術~』
選考委員奨励賞(電撃文庫) 『グラフティ探偵――ブリストルのゴースト』→『オーバーライト――ブリストルのゴースト』
メディアワークス文庫賞 『心は君を描くから』→『今夜、世界からこの恋が消えても』
選考委員奨励賞(メディアワークス文庫) 『そして、遺骸が嘶く―死者たちの手紙―』(変更なし)
『灼華繚亂』が特にそうですが、わかりやすくそれでいて作品の持つ雰囲気も残しつつ改題されていますね。
また他のレーベルと比較してみると、そもそもタイトル変更自体があまりされていないようです。
『声優ラジオのウラオモテ』については過去に感想記事をあげておりますので、よければご覧ください。
www.kakidashitaratomaranai.info
第32回ファンタジア大賞
続いてはファンタジア大賞です。
なんと刊行されているものについては、全作品タイトル変更されております。
大賞 『スパイは甘く誘惑される。学校全員の美少女から』→『スパイ教室01 《花園》のリリィ』
金賞+葵せきな賞 『これが俺のヒロイン攻略法』→『世界一かんたんなヒロインの攻略しかた』
金賞+石踏一榮賞 『闇堕ちさせた姫騎士に魔王軍が掌握されました』→『ようこそ最強のはたらかない魔王軍へ! ~闇堕ちさせた姫騎士に魔王軍が掌握されました~』
金賞+橘公司賞 『嘘嘘嘘でも愛してる』→『嘘嘘嘘、でも愛してる』
銀賞 『我が一刀をもって彼女を殺す』(刊行されず?)
『スパイ教室』についても過去に感想記事をあげておりますので、気になった方はよければチェックしてみてください。
www.kakidashitaratomaranai.info
第15回MF文庫J
続きましては、MF文庫J。
こちらも全作品タイトル変更されています。
最優秀賞 『探偵はもう、死んでいる』→『探偵はもう、死んでいる。』
優秀賞 『愛をママに我が娘に、僕は君だけを好きでいたい』→『世界一可愛い娘が会いに来ましたよ!』
優秀賞 『嘘松マスターと人魚姫』→『かまわれたがりの春霞さん 隣の席のあの子は俺の嘘が好き』
審査員特別賞 『異能モノ』→『―異能―』
佳作 『譬え世界のすべてを敵に回したとしても』→『特殊能力統轄学院 叛逆の優等生と悪魔を冠する少女の共犯契約』
佳作 『ポーカーフェイス』→『ゲーマーズ・ハイ』
『探偵はもう、死んでいる。』については、句点が追加されただけなので、どうするべきかどうか悩みましたが、やはり何かしらの意図をもって変えられたのでしょうし、一応カウントしています。
『たんもし』についても、別記事で取り上げていますので、気になった方はぜひ覗いてみてくださいね。
www.kakidashitaratomaranai.info
また余談ですが、この後に行われた第16回も含めて、MF文庫ライトノベル新人賞では『大賞』が出たことがありません。
アニメ化もした『変態王子と笑わない猫。』や『たんもし』でも大賞をとれなかったわけですし、きっと相当高い基準が設けられているのでしょう。
第14回小学館ライトノベル大賞
次はガガガ文庫の作品です。
こちらも全作品変更されています。
ガガガ賞 『デッドリーヘブンリーデッド』→『君はヒト、僕は死者。世界はときどきひっくり返る』
審査員特別賞 『令和生まれの魔導書架~全天時間消失トリック~』→『シュレディンガーの猫探し』
優秀賞 『サンタクロースを殺した。初恋が終わった。』→『サンタクロースを殺した。そして、キスをした。』
優秀賞 『フェイクタウン・ブルース』→『このぬくもりを君と呼ぶんだ』
優秀賞 『ラブコメを絶対させてくれないラブコメ』→『現実でラブコメできないとだれが決めた?』
例のごとく感想記事のリンクを貼っておきます。
わりと読んでいる作品が多いのは、ぼくが個人的にガガガ文庫が好きだからです。
肌に合うというか、ガガガ文庫のラノベは他レーベルとは違った空気感があるんですよね。
また読んでない作品についても、一応購入はしていますのでそのうち記事化したいなあ……。
www.kakidashitaratomaranai.info
www.kakidashitaratomaranai.info
www.kakidashitaratomaranai.info
www.kakidashitaratomaranai.info
第11回GA文庫大賞
続いてはGA文庫大賞
冒頭で取り上げました『ダンまち』が刊行されているレーベルです。
7作品中、5作品がタイトル変更されています。
大賞 『処刑少女の生きる道』→『処刑少女の生きる道―そして、彼女は甦る―』
優秀賞 『ひきこまり吸血鬼の悶々』(変更なし)
奨励賞 『帝国の勇者』→『帝国の勇者 世界より少女を守りたい、と“まがいもの”は叫んだ』
奨励賞 『雲蒸竜変 黙シテ語ラズ』→『小泉花音は自重しない 美少女助手の甘デレ事情と現代異能事件録』
奨励賞 『【夕立朱人】タナトスキッズ【売名中】』→『【配信中】女神チャンネル! え、これ売名ですの⁉』
奨励賞 『ロード・オブ・キャッスル』→『城なし城主の英雄譚 彼女のファイアボールが当たらない!』
奨励賞 『竜と祭礼―魔法杖職人の見地から―』(変更なし)
『処刑少女の生きる道―そして、彼女は甦る―』については、GA文庫大賞において7年ぶりの《大賞》受賞作品として話題になりましたね。
処刑少女の生きる道(バージンロード) ―そして、彼女は甦る― (GA文庫)
第6回オーバーラップ文庫大賞
さて次は、第6回オーバーラップ文庫大賞です。
4作品中、3作品がタイトル変更されています。
金賞 『ソシャゲが好きで何が悪い!~命薫高校ソシャゲ部の奮闘~』→『弱小ソシャゲ部の僕らが神ゲーを作るまで』
銀量 『蒼空と黒鉄の境界で』→『アガートラムは蒼穹を撃つ 三日月学園機関甲冑部の軌跡』
銀賞 『サイコパスガール イン ヤクザランド』(変更なし)
特別賞 『トラック受け止め異世界転生ッッッッッ!!!!! 熱血武闘派高校生ワタルッッッッッ!!!!!』→『トラック受け止め異世界転生ッ! 熱血武闘派高校生ワタルッッ!!』
トラックの勢いが若干落ちてるのが面白いですね(小並感)
「ッ」とたくさん入力するのが大変なので、検索のしやすさを意識されたのでしょうか。
トラック受け止め異世界転生ッ!熱血武闘派高校生ワタルッッ!! 1 (オーバーラップ文庫)
第13回HJ文庫大賞
HJ文庫大賞については、刊行されている4作品中、3作品がタイトルを変えています。
地味に調べるのが大変でした……という感想は置いておいて、『女勇者は引退魔王の平穏な日々を許さない――絶対にだ!』に関しては刊行されていないのかがよくわかっておりません。
ご存じの方がいらっしゃいましたら、こっそりとお知らせください。
大賞 『あのサンセット・ノスタルジアをもう一度』→『デッド・エンド・リローデッド 1―無限戦場のリターナー―』
金賞 『紙山さんの紙袋の中には 1』(変更なし)
金賞 『女勇者は引退魔王の平穏な日々を許さない――絶対にだ!』(刊行されず?)
銀賞 『メリル・レッドゾーン』→『エロティカル・ウィザードと12人の花嫁』
銀賞 『ピンク色のリトルマーメイド』→『ピンク色のリトルマーメイド!』
またコンテストがリニューアルされたとのことなので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
第8回講談社ラノベ文庫新人賞
続いては講談社ラノベ文庫です。
全作品(刊行されているのは、おそらく2作品だけですが)タイトル変更されております。
大賞 『バグつき人形 ~イチコとナナコ~』→『101メートル離れた恋』
優秀賞 『いつかこの砂の海で』(刊行されず?)
佳作 『異世界で生き抜くためのブラッドスキル』(刊行されず?)
佳作 『最終戦争をはじめましょう』→『終わる世界の魔人執事』
こちらの賞については、引き続き調査してまいりますので、またなにか分かりしだい情報を更新いたします。
大賞の『101メートル離れた恋』は「百合×SF」の作品です。
タイトルがかなりオシャレになっていますね。
第25回スニーカー大賞
最後にあげましたのは、スニーカー大賞。
全作品(といっても2作品ですが)タイトル変更されています。
最近、「五大改革」と題して、賞金額の引き上げやコミカライズの確約、選考回数を年2回に変更などが発表されました。
ラノベ作家志望の方は、この改革の行く末は要チェックですね。
ちなみに以下の2作品は同じ作者様です。
特別賞 『硝子の傭兵と空の騎士団』→『型破り傭兵の天空遺跡攻略』
特別賞 『君が好きな私が好き! ~陰キャとナルシストの青春ロールプレイ~』→『とってもカワイイ私と付き合ってよ!』
ライトノベル新人賞受賞作品の「タイトル変更」についての総まとめ
以上が調査の結果となります。
新人賞を受賞し刊行されているライトノベルのうち、全42作品中、35作品がタイトル変更されていることがわかりました。
こうして数字で出してみると、かなりの作品のタイトルが変えられていることがわかりますね。
長くなっているタイトルもあれば、短くまとめられたものもありますが、ほとんどの作品に共通して言えることとしては、初見の時により内容を想像しやすいタイトルになっている、といったところでしょうか。
今回は9レーベルにとどめますが、ネットのものやライト文芸など数多くの新人賞が存在しますので、気になった方はぜひぜひチェックしてみてください。
また数年分のタイトルを比較してみれば、流行の変遷なども見受けられるかもしれません。
そのうち、特別好きなレーベルに絞って調べてみようかな……と考えておりますが実行するかどうかは未定です。
最後までご覧いただきありがとうございます。
当ブログでは、他にもライトノベル・ライト文芸について様々な記事をあげていますので、よければご覧ください。
www.kakidashitaratomaranai.info