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アーサー王伝説・私的おすすめ本①~原典から読みやすい本まで~

円卓の騎士の「え」の字を聞くや否や鼻息を荒げて円卓トークを始めてしまうAuraです。伝説や伝承に詳しくない人でも、アーサー王をはじめとした円卓の騎士について、何かしら聞いたことのある方が多いと思います。

 

それもそのはず、日本のサブカルチャー作品には、アーサー王伝説の要素を数多く見出すことができるからです。アニメやマンガ、ゲームなど様々な媒体で騎士や武具の名前が使われていて、全て調べるのもそれを載せるのも難しいくらいです 笑


ほぼ名前だけ借りているものも少なくないですが、アーサー王伝説の物語自体をモチーフとした作品もあります。マンガ『七つの大罪』やゲーム『Fate』シリーズなどです。

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『Fate』シリーズにおける円卓の騎士(とマーリン)

 ©TYPE-MOON/FGO PROJECT

 

僕がアーサリアン(=アーサー王伝説が好きな人)になったきっかけは、『Fate』シリーズに触れたことでした。そこで興味を持ち、原典となった物語を読もうと思い至ったのです。今回は「興味はあるけど、どの本を読めばいいんだろう…?」という初心者の方のために、私的なおすすめ(入門書)を書き連ねていきます。

※なるべくネタバレなしで書いています。

 

 

アーサー王伝説 おすすめの本(入門書)

①トマス・マロリー『アーサー王の死』(ちくま文庫)


アーサー王の死 (ちくま文庫―中世文学集)
(Amazonへのリンクです)


「原典」といっても、アーサー王伝説は様々な作家たちに題材とされているので、明確に「これだ!」と言えるものはありません。しかし今日一番よく知られているのがトマス・マロリーの『アーサー王の死』です。

読むなら文庫版がおすすめです。この文庫版は完訳『アーサー王物語Ⅰ~Ⅴ』(筑摩書房)の内容から、アーサー(とランスロット)が中心となるエピソードが収められています。
アーサーの誕生、王への即位、円卓の結成、そして栄光の終焉と、言わばアーサー王伝説のメインストーリーをこの一冊で読むことができます。


本当なら完訳版の方がいいのでしょうが、いかんせん絶版になっていて中々手に入れられません。※kindle版はあります。


ただし、この本の欠点は、「ちょっと読みにくい」ということです。というのも、元が中世の作品なので、文章の書き方・描写の仕方などが現代の作品とは異なります。

たとえるなら「〇〇が××した。すると●●が□□した。〇〇は△△した。」というように、単調な・単純な感じで進むところもあったので、読み物としての面白さが少し足りないかもしれません…実際僕はそう感じたんですね…笑

 

 

②ローズマリ・サトクリフ『アーサー王』シリーズ(原書房)


アーサー王と円卓の騎士―サトクリフ・オリジナル
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全3巻。

1巻『アーサー王と円卓の騎士』…アーサー誕生からパーシヴァルの登場まで
2巻『アーサー王と聖杯の物語』…騎士たちによる聖杯探索
3巻『アーサー王最後の戦い』…王国の崩壊とアーサー王の死

という構成になっています。

 

この本は、中世ではなく現代の作家がアーサー王伝説をモチーフとして書き上げたオリジナル作品です。なので、必然的に描写も現代の感覚に合うものとなっています。「どういう心理で、どのように行動していったか」を丁寧に描いているので、より物語へ没入できるでしょう。感情移入のしやすさって、やっぱり大事ですからね…笑

 

また欠点をあげるとすれば、ごくたまに日本語訳にちょっとあやしいところが…。まぁ翻訳ものの本にはつきものですから、小さなことかもしれません。この問題よりは、「たまに買いにくい」ことの方が大きいです。在庫に余裕のあるところが少ないので、(新品だと)3巻全部揃えにくいかもしれません…。僕の場合、出版社へ直接問い合わせて購入した巻もあります。

 

あと、個人的には「推し騎士」のランスロットが美形のキャラじゃないことが気になります!ランスロットならイケメンでなきゃ!
でもオリジナル作品なので、ここに注文をつけてはいけないですね 笑

 

この『アーサー王』シリーズは「原典」に比較的忠実な作品とされていることもあって、アーサリアン界隈では一番よくおすすめされている本です。

 

現代のオリジナル作品を、補足として2冊簡単にご紹介します。入手しやすいよう近年出版されたものを選んでいます。

ローズマリ・サトクリフ『落日の剣 真実のアーサー王の物語』(原書房)


落日の剣 上 若き戦士の物語:真実のアーサー王の物語
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先ほどの『アーサー王』シリーズと同じ作家による本で、上・下巻あります。 「じゃあ『アーサー王』シリーズとの違いは何?」と気になるかと思います、僕もそうでした 笑

端的に言うと、『アーサー王』シリーズはフィクション寄りの「伝説重視」、『落日の剣』は歴史ものっぽい「史実重視」です。なのでいわゆる「アーサー王伝説」のストーリーや人物設定とはかなり違うところも多いです。例えば人名では「アーサー→アルトス」、「ガウェイン→グワルフマイ」と、別の呼び方になっています。

 

『落日の剣』も傑作ですし、2019年に新装版が出て入手しやすいのも良いところなんですが、「アーサー王伝説」の入門としてはちょっと向いていないかもしれません。

ちなみに『落日の剣』は、アーサー王の上の世代の物語である『ともしびをかかげて』(岩波少年文庫)という作品の続編です。

 

バーナード・コーンウェル『小説アーサー王物語』シリーズ(原書房)


小説アーサー王物語:エクスカリバーの宝剣(上)
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全6巻。2019年に新装版が出ています。『小説アーサー王物語』シリーズは、『落日の剣』と同様に史実を盛り込んだ作風となっています。そのストーリーは、華やかさ、と言うよりは重々しい雰囲気を全編に渡ってまとっています。

 

こちらも「原典」からの改変がいくつかあります。僕が驚いた設定をひとつだけ紹介しますと、「モードレッド」という名前のキャラクターがふたりいて、その内の片方はなんとアーサーの兄弟という設定なんです 笑

そのモードレッドの子どもが、僕らのよく知っている方のモードレッド、という人物関係になっています。 


③アンドレア・ホプキンズ『図説 アーサー王物語』(原書房)


図説アーサー王物語
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「図説」とありますが、説明や図がメインの事典のような作りではなく、物語の文章の合間合間に、コラムや挿絵のように図が入っています。そのためストーリーを楽しむだけでなく、豆知識を知ったり、図をあわせて見て当時のイメージを膨らませたりすることもできるのです。

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※画像は少しぼかしてあります。


内容として、①で紹介した『アーサー王の死』に加え、中世のマロリー以外の作家の作品も収められています。

(省略されているところもありますが)複数の作品をひとつの作品としてまとめ再構成しているので、この一冊でカバーできる範囲が広いです。文体も改められているため、中世の文章を直訳した本より随分と読みやすくなっています。


旧版と普及版とがあり、後者は2020年4月に出た新刊なので、アーサー王関連の本の中ではおそらく入手しやすいのもポイントです。

(上の表紙画像は旧版です)

 

シドニー・ラニア『アーサー王と円卓の騎士』(福音館書店)


アーサー王と円卓の騎士 (福音館古典童話シリーズ)
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『図説 アーサー王物語』と同じく、「一冊で読める」というところを重視するのであれば、児童書ですがこちらもおすすめと言えるでしょう。アーサー王伝説を取り扱う児童書は他にもあるのですが(ジェイムズ・ノウムズ『アーサー王物語』など)、さすがにダイジェスト過ぎたり、有名な話でもカットされていたりすることがあります。

 

どのエピソードを選んで載せるか、というのは中々バランスが難しいですが、この『アーサー王と円卓の騎士』はいい具合だと感じられましたね。

 

④斉藤洋『アーサー王の世界』シリーズ(静山社)


大魔法師マーリンと王の誕生 (アーサー王の世界 1)
(Amazonへのリンクです)


ちょっと視点を変えたおすすめがこちらになります。斉藤洋さんは『ルドルフとイッパイアッテナ』シリーズで知られる児童文学作家です。昔夢中になって読んでいたのが懐かしいです。その斉藤さんがなんとアーサー王の物語を書いておられる!


ジャンルが児童書にはなりますが、大人の目で見ても普通に楽しめると思います。読みやすさは随一で、物語世界へスッと入っていくことができるのです。
現在既刊5巻で、

1巻『大魔法師マーリンと王の誕生』
2巻『二本の剣とアーサーの即位』
3巻『ガリヤの巨人とエクスカリバー』
4巻『湖の城と若きランスロット』
5巻『荷車の騎士ランスロット』

となっています。一冊にまとめてダイジェストにすることが多い児童書の中で、既刊が5巻もあるのは珍しいと言えるでしょう。

 

1巻で、アーサーに仕えた魔法師・マーリンを主人公にして描いているのは中々面白い構成です。今のところ、アーサー王伝説のメインの筋書きに沿った進み方をしています。
巻数は多いですが、全て170ページほどなのでスラスラ読めます。こちらも近年の作品なので、比較的買いやすいでしょう。

 

ひとつだけ気になるとすれば、刊行ペースがゆっくりなこと。1巻は2016年10月で、5巻が2019年12月です。完結するまでもう少しかかりそうなんですよね…笑

 

 

おわりに

最後にまとめますと、

〇「読むなら原典の最大手から!メインストーリーを知りたい!」という方は ① の『アーサー王の死』


〇「現代的に書かれた重厚な物語を読みたい!」という方は ② の『アーサー王』シリーズ


〇「いろんな原典を一冊で読みたい!」という方は ③ の『図説 アーサー王物語』


〇「気軽に読みたい!」という方は ④ の『アーサー王の世界』シリーズ

 

がおすすめです。あ、もちろん全部でもいいですよ!笑

僕個人としましては、③の『図説 アーサー王物語(普及版)』がいいのかな、とも思ってます。約3000円と文庫本などに比べるとちょっと高いですが、一冊で読めるのが最大のおすすめポイントかもしれません。他の作品だと、買い揃える場合、合計で結構な値段になりますので… 笑

 

なので、アーサー王伝説の本を買うという時は、多少の出費は覚悟してください…!笑
もちろん、図書館で探して借りるというのもアリですね。

 

これを機に、アーサー王や円卓の騎士たちをより深く知ってみると、マンガやゲームでの彼らの姿がまた違って見えてくると思います。ぜひ自分の「推しの騎士」を見つけてください 笑
どれか読み終わる頃には、すっかりアーサリアンとなっていることでしょう…。僕はこちら側でお待ちしております……。

 

余談ですが、僕のはてなID “Aura_13” の13は、(王含む)円卓の騎士の人数に由来しています。


図説アーサー王物語 普及版

 

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