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アーサー王物語と円卓の騎士について~超・ざっくり解説~

 

「朝がきた!」と言われたら「アーサーがきた!?」と空耳してしまうAuraです。円卓の騎士が好きすぎてヤバい人になりつつあります。

 

さて、「円卓の騎士」「アーサー」「ランスロット」「エクスカリバー」などの騎士や武器の名前を、どこかで聞いた覚えがあると思います。アニメやゲームなど、様々なところで使われているこの言葉は、全てアーサー王伝説に由来しています。


「でも、物語の内容は詳しく知らないなぁ…」という方のために今回は、超・ざっくりとキャラクターやストーリーについてご紹介します。ネタバレ注意?です 笑

 

※アーサー王伝説についてほとんど知らない方向けの記事となっています。

 

 

そもそも「アーサー王伝説」って?

アーサー王伝説は、史実ではなく創作された物語です。もちろんモデルとされる人物はいますが、伝説の大部分は創作となっています。


ブリテン島(現在のイギリス)で西暦550年ごろから文献として出始めました。日本でいうと聖徳太子が産まれる20年くらい前になります。

そこから数百年に渡って、伝承を取り込みつつ様々な作者による創作が付け足されていくのです。

「この話も入れたら面白くなる!」
「ぼくのかんがえたさいきょうの騎士!」
「このキャラ好きだから自分の書くストーリーでも使うぞ!」

というような感じでどんどん世界観が膨らんでいきました 笑

 

そして一番有名と言って良いのが、トマス・マロリーの『アーサー王の死』なのです。タイトルでネタバレしてるやん。


( ↑ 画像はAmazonへのリンクです)


この作品が世に出たのは1470年ごろで、日本では室町時代(応仁の乱の真っ最中)にあたります。

それまでに書かれた物語や伝説をひとつにまとめあげているのですが、さすがに作品数が多すぎるので全てが収録されたというわけではありません。

 

「円卓の騎士」って何?

円卓の騎士とは、アーサー王と彼に仕えた騎士たちのこと。王都キャメロットの城にあった円卓に由来しています。上座下座のない、対等な関係であることを象徴しているのです。

 

現代では、アーサー王と共に円卓に座ることを認められた12人の騎士(+アーサー王本人)が「円卓の騎士」とされることが多いんですが、ここに含まれていない騎士でも「円卓の騎士」と呼ばれることがあるのでややこしいんです 笑
なので総計すると150人くらいまで増えることもあります。

 

スポーツでたとえると、野球チームのスタメンと2軍メンバー、というふうに考えるといいかもしれません。13人がスタメンということですね(実際の野球は9人ですが)。

 

円卓の騎士13人のメンバーは作品によってまちまちで、また、途中で入れ替わることもあります。
僕の私見(というより好み…?)も混じっていますが、よく見る構成は以下の通りです。

あ、この並びに深い意味はありません 笑
太字になっているキャラはあらすじ紹介にも出てきます。

〇アーサー王
〇ランスロット卿
〇ガラハッド卿
〇トリスタン卿
〇パーシヴァル卿
〇ラモラック卿
〇ガウェイン卿
〇ガレス卿
〇アグラヴェイン卿
〇モルドレッド卿
〇パロミデス卿
〇ケイ卿
〇ベディヴィア卿


では、まずメインキャラクターについてざっくりご紹介していきます。なるべく固有名詞を出さずに、大筋に関わる人物のみ取りあげました。

 

メインキャラクター紹介

アーサー王
ブリテンを統べる騎士王。「石に刺さった剣」である王位選定の剣と、その後に使った聖剣エクスカリバー*1が有名。


また、エクスカリバーの鞘には不死の加護(ケガを治してくれる)がありましたが、盗まれました

その結果、最後の戦いで命を落としてしまいます…。

 

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これはもう王者の風格が出てますね

チャールズ・アーネスト・バトラー『アーサー王』

 

マーリン
先王ウーサーの代から仕えている結構すごい魔法使い。ストーンヘンジは彼が作ったという伝説も。「アーサーとグィネヴィアが結婚するのは良くない」などの予言もしていました。

ある女性にぞっこん惚れこみ、最後はその女性の手で生き埋めにされてしまいます。


グィネヴィア
アーサーと結婚し王妃に。「ギネヴィア」と表記されることもあります。

初めて見たとき、めちゃめちゃ強そうなイカツい名前やんと思いました 笑
現代の名前では「ジェニファー」になるので、これなら可愛らしくなりますね。

 

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見目麗しい乙女です

ジョン・コリア 『グィネヴィア王妃の五月祭の祝い』

 

ランスロット
フランス出身ながら、円卓の騎士に加わります。アロンダイトという剣*2を愛用。アーサー王の親友にして、円卓最強の騎士なのですが……。


あ、ランスロットこそが僕の「推しの騎士」です 笑


ガウェイン
円卓の騎士であり、アーサー王の。彼の愛剣はガラティーン。アーサー王の忠実な配下ですが、激情的なところがあります。

日中の特定の時間帯、太陽の加護を受けめちゃ強くなります。


モルドレッド
円卓の騎士であり、そしてアーサー王の隠し子。「モードレッド」という表記もされます。ガウェインの弟でもあるので、血縁関係がややこしいですね 笑


モルゴース
アーサー王の異父姉。ガウェインとモルドレッドの母。モルゴースはしばしば妹の妖姫モルガンと一緒にされ、同じキャラとして扱われることもあります。

モルガンはアーサー王の敵なので、証券会社モルガンスタンレーもアーサー王の敵。

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家系図にするとこうなります



〔 補足 〕
トリスタン
ストーリー紹介には出てきませんが、有名な騎士なのでご紹介。
円卓の騎士のひとり。フェイルノートという弓と、カーテナという剣を所持。悲恋物語『トリスタンとイゾルデ』が知られています。


以前、僕はリアルでトリスタンという名前の人に遭遇し、「フフ…君、トリスタンって名前なんだ…フフ…フフフ……」ってやってたら気味悪がられました 笑

 

次はあらすじ(メインストーリー)についてご紹介していきます。本当にたくさんのパターンがあるので、ここではおおよそ共通しているものを書いていきます。

 

アーサー王伝説のあらすじ

 アーサー、「石に刺さった剣」を抜き王となる


アーサーは、先王ウーサーの子として産まれました。しかし実は、ウーサーが家臣の妻に産ませた不義の子なのです。

それもあって、ウーサーに仕えていた魔法使い・マーリンが産まれたばかりのアーサーを預かることになりました。

最初から結構ドロッとした展開なんです 笑

 

ウーサーの死後、新しい王を決めるため「石に刺さった剣」が用意されました。これを準備したのはマーリン。いわく「この剣を抜いたものが、新たな王になる」と。

 

集ってきた騎士はみなこの剣を引き抜こうとしますが、微動だにしません。
最後にそこへやってきた若きアーサーは難なく引き抜いてみせ、王位継承者であることを示したのです。

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マーリンが用意してたんだからヤラセじゃんというツッコミはなしです 笑
あと、この「石に刺さった剣」は途中で折れてしまい、代わりにエクスカリバーを手に入れます。

 


ブリテンを統一


しかし、騎士たちや諸侯はアーサーを王として認めようとはしませんでした。

アーサーは産まれてからその存在を隠されていた(不義の子だからですね)ため、彼らからすれば「いきなり知らんやつに王位なんてありえん!」という心境なわけです。


こうして諸侯VSアーサー王の戦いが始まったのですが、マーリンの助けもあって、なんやかんやでブリテンを統一しました 笑


また、この時期に、アーサーと異父姉モルゴースとの間にモルドレッドが産まれます。アーサーは姉だと気づいていなかったんです…。

 


グィネヴィアとの結婚、円卓の騎士結成


戦いの終結後、アーサーはグィネヴィアを王妃として迎えます。円卓の騎士も結成され、ランスロットガウェインガレス、モルドレッドなどがここに名を連ねます。メンバーは基本的にみんな仲良しです 笑


ガウェインの弟ガレスは、ランスロットに騎士に任じられたことで円卓の仲間入りを果たしました。それに感謝して、ランスロットを敬愛するようになるのですが……

 

この平和な時期においてはアーサー本人ではなく、配下の騎士たちの活躍や冒険譚が数多く語られるようになります。

 

 

王妃グィネヴィアとランスロットの不義、そして円卓の崩壊


「理想の騎士」であり、円卓最強ともいってよいランスロット。そんな彼に、王妃グィネヴィアは恋をしてしまいます。ランスロットは王への忠誠と板挟みになりながらも、彼女を深く愛するようになります。

それを「面白くねぇなぁ」という感じで、暴露したのがモルドレッドです。


王妃グィネヴィアは、その罪で火刑に処されることとなりました。ランスロットは愛する王妃を守るため処刑場へ乗り込み、かつての味方を多数斬り殺していきました。

しかし手にかけたその中には、ガウェインの弟であり自身を敬愛するガレスがいたのです。

 

ガレスの死を知ったガウェインは怒り狂い、後に仇を討つためランスロットと激闘を繰り広げますが、最後には敗れ重傷を負ってしまいます。

なんという悲劇でしょう…暗い話だなぁ……泣

 


モルドレッドの反逆とアーサーの死


ブリテンからフランスへ逃亡したランスロットを討伐するため、アーサー王は遠征します。しかしブリテンを離れている間に、モルドレッドが王位を簒奪しようと反逆

 

それを知り、ランスロット討伐を中止して戻ってきたアーサー王と、まさに死闘を演じます。この一連の戦いは凄惨で、両軍の騎士はほとんど全滅。ガウェインも死亡してしまいます。


一騎打ちの末にアーサー王はモルドレッドを討ちましたが、致命傷を受けます。死の直前、アーサー王はエクスカリバーを湖に返還するよう部下に命じました。


そして彼は、湖の妖精たちにより伝説の楽園アヴァロン島へと運ばれ、そこで息を引き取ったのです。あるいは、遠い未来に目覚めるため眠っているとも……。

 

 

修道院に入っていたグィネヴィアは、この戦いの数年後に病死します。それを知ったランスロットは断食し、彼女の墓の上に横たわったまま息を引き取りました。


アーサー王伝説の大まかなストーリーは以上の通りです。ええ話や…ええ話やった…。

 

 

おわりに

奥深いアーサー王伝説の物語……。その感動は、今なお世界中の人々を魅了しています。「こんな話だったんだ!」と感じた方もいらっしゃるでしょう。

 

なので…!せっかくですから、これを本でも読み味わってみてほしいのです! 笑

www.kakidashitaratomaranai.info


上の記事でも紹介しているのですが、ひとつだけここにも載せると、『図説 アーサー王物語(普及版)』が総合的にはおすすめかな~、と思っています。


( ↑ 画像はAmazonへのリンクです)

 

今回簡単にご紹介した内容は、伝説のほんの一端に過ぎません……どこをどうやってお話しするか考えるのが本当に大変でした 笑

物語や登場キャラクターについて、さらなる興味を持っていただけたら、円卓オタクとして幸いです。

 

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*1:よく「聖剣」とつけられますが、実は日本でのみ見られる現象です。海外で"holly sword"と呼ばれることはないんです 笑

*2:ちなみに、「アロンダイト」という名は、アーサー王物語の原典には出てきません。