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『文豪どうかしてる逸話集』が面白い|文豪たちの笑えるエピソード

 

ガンガン読書したいなぁと思いつつペースがのろいAuraです。なんというか特に物語は、コンディションが万全な状態かつ、たっぷり時間が取れないと、「読もう!」って気が起こらないんですよね…笑

 

そんな読書家とは言い難い僕が今回ご紹介しますのは、『文豪どうかしてる逸話集』です。


文豪どうかしてる逸話集
(Amazonへのリンクです)

いかにも文豪の本らしい表紙デザインがいいですね 笑

 

夏目漱石や芥川龍之介ら「文豪」というと、「難しく高尚な文学作品を生み出した人たち」というイメージが浮かぶかと思います。

 

しかし『文豪どうかしてる逸話集』には、僕たちとそう変わらない(いい意味で?)人間くさい逸話が数多く載っています。
お酒にお金に女と、なんだか俗っぽくて笑えるエピソードを知ると、文豪たちが身近に感じられるとともに、作品への興味も俄然高まるかもしれません。

 

作者の進士素丸(しんじすまる)さんのお言葉を借りましょう。

「素晴らしい作品を生む人間が必ずしも素晴らしい人間とは限らないし、またそうある必要もないのです」

出典:進士素丸『文豪どうかしてる逸話集』

 

 

本の構成

『文豪どうかしてる逸話集』の目次及び、扱われている文豪は以下の通りです。

第一章 太宰治を取り巻くどうかしている文豪たち
~太宰治・檀一雄・坂口安吾・志賀直哉・中原中也・宮沢賢治~

 

第二章 夏目漱石一門と猫好きな文豪たち
~夏目漱石・芥川龍之介・室生犀星・正岡子規・内田百間~ 

 

第三章 紅露時代の几帳面で怒りっぽい文豪たち
~尾崎紅葉・泉鏡花・田山花袋・国木田独歩・幸田露伴・淡島寒月~ 

 

第四章 谷崎潤一郎をめぐる複雑な恋愛をした文豪たち
~谷崎潤一郎・佐藤春夫・永井荷風・江戸川乱歩・森鴎外~

 

第五章 菊池寛を取り巻くちょっとおかしな文豪たち
~菊池寛・直木三十五・川端康成・横光利一・梶井基次郎~

出典:進士素丸『文豪どうかしてる逸話集』

 

これだけ多くの人が載っているので、好きな作家や聞いたことのある作家は大体カバーしているのではないでしょうか。

しかし、みんな「どうかしてる逸話」があるということなんですね…笑

 

文豪ごとに、

①プロフィール

②代表作

③「どうかしてる逸話」2~3つ

が簡潔にまとめられています。本全体での「どうかしてる逸話」の収録数は約50です。めちゃくちゃありますね 笑
また、各章の初めには文豪同士の人間関係図も掲載。

 

書名からも十分伝わるかと思いますが 笑、分かりやすい文体でゆる~く書いてあるので、とても手軽に楽しめます。

例えば、夏目漱石のプロフィールをここに載せますと……

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©進士素丸/KADOKAWA

出典:進士素丸『文豪どうかしてる逸話集』

 

イラストのタッチといい、文中で現代風に書かれたセリフといい、取っつきやすいですね 笑

「代表作」の方を見れば、「この作品はこんな話だったっけ、面白そうだなぁ」と次に読む本が決まるきっかけになるかもしれません。

 

そしてこの本のメインである「どうかしてる逸話」
僕が個人的に気に入ったエピソードをご紹介しようと思います。

 

酔っぱらった中原中也、太宰治にウザ絡みをする

詩人・中原中也と言えば、『汚れっちまった悲しみに』が特に知られているでしょう。

汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

(後略)

 

あとは、高校国語で習うことがある『一つのメルヘン』ですね。

秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があって、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射しているのでありました。

(後略)

 

昔、僕はこれらの詩を読んで、「中原中也すげぇ、見えてる世界が違う…繊細な感覚の持ち主なんだろう…」と思ったものです。

 

いえ、繊細な精神世界を内に広げていることは間違いないのですが、私生活は豪快で面白過ぎました 笑 

太宰と檀と中也の3人で飲んでいた時のこと。いつものように絡んでくる中也にうんざりした太宰は家に逃げ帰ってしまう。

 絡み足りない中也は檀の静止を振り切って、太宰の家まで押しかけて、「起きろ!ばーか、ばーか!」
 と、太宰の枕もとでわめき散らす。そして、なにも言い返すことができず布団の中で怯えている太宰。

 

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©進士素丸/KADOKAWA

出典:進士素丸『文豪どうかしてる逸話集』

 

中也、完全にやってることがヤンキーですね 笑
しかも「いつものように絡んでくる」って、どんだけ酒癖悪いんですか、、、笑

布団で怯えている太宰の姿もまた滑稽。最終的に、中也は檀一雄に投げ飛ばされたそうです。

 

高校の『一つのメルヘン』の授業で、このエピソードも一緒に教えたら、難しく思われがちな詩にも興味を示してくれるかもしれません。
いや、むしろ詩の内容が入ってこなくなる…?笑

 

芥川龍之介と夏目漱石、職務質問をされた時にふざける

芥川も漱石も、めちゃくちゃ有名な文豪ですよね。
芥川は『鼻』『羅生門』『蜘蛛の糸』、漱石は『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『こころ』などが代表作と言って良いでしょう。

 

どれかひとつやふたつは読んだことのある方が多いかと思います。
ベタですが僕は『こころ』が大好きです。「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」という言葉、うーん刺さりますね 笑

 

人間のエゴイズムを鋭く描き出す作品が多いふたり。そこから窺い知れる近代的知識人の苦悩というのは、現代人の僕らでも分かるところがあると思います。

 

が、そんな芥川と漱石にもやんちゃなところがありました。

近所で起こった火事をふたりで見に行った帰り道、警察官に職務質問をされ…

 芥川と漱石は、警察官からの「どこから来た?」という簡単な質問に「家はあっちだから、あっちから来たとも言えるし、でも、火事場はこっちだから、こっちから来たともいえるし…」などと答えていると面倒くさいヤツ認定をされ、「行ってよし!」と言われるも「署まで行きますよ!興味あるし」みたいなことを言って、警察官を困らせ面白がったのであった。

 

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©進士素丸/KADOKAWA

出典:進士素丸『文豪どうかしてる逸話集』

 

警察官相手にふざける度胸がすごいです 笑
今やったら、どんなリアクションされるんでしょうね…パトカーの中で尋問…??

 

「署まで行きますよ!興味あるし」なんて、小学生の社会科見学の気分で言ってるやつですよ、絶対。

 

ずっとこれくらい気楽に(?)生きていられたら、芥川も漱石も作風が全く異なっていたかもしれません。(まぁそうなると『こころ』などは書かれていなかったでしょうが)

 

あと、「あっちとも言えるし…こっちとも言える…」っていう、芥川みたいな面倒くさい言い回しをする僕の友人が、何を隠そうこのブログの共著者・トフィーです 笑

彼は文豪では芥川が好きだと言ってましたが、なるほど、このエピソードをリスペクトしてたのか……()

 

おわりに

自分語りと身内ネタが大分混ざってしまいましたが 笑、『文豪どうかしてる逸話集』の魅力は十二分に伝わったかと思います。

 

文豪のプロフィール、代表作、関係図が分かりやすくまとめられ、何より終始愉快なエピソードが盛りだくさんの本書を、みなさんも是非手に取ってみてください。

 

【参考】
『文豪どうかしてる逸話集』は、進士素丸さんの書いた記事が、加筆され書籍化したものです。他のエピソードも気になる方は、こちらもご覧ください。

www.ou-en-za.com