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映画『エクスカリバー』(1981年)の紹介・感想|アーサー王伝説の正統派映像化

 

ヨーロッパの騎士の甲冑を身に着けてみたいAuraです。重くて多分まともに動けないでしょうけど、憧れは日増しに強くなっていくばかりです 笑

 

さて、今回からアーサー王伝説の映画について、シリーズ記事でご紹介していきます。

僕はこれまで、アーサー王の文学にマンガに絵画にと、ひたすらアーサー王に関するものを摂取してきましたが、次は映画です。
いろんなメディアで楽しめるアーサー王伝説は、やはりいいものだ……笑

 

第1回の本記事では、1981年公開の『エクスカリバー』を扱います。

 


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この記事をご覧になっている方は、多分アーサー王伝説の大筋についてご存知だと思いますので、イチからの説明は省略します 笑

「どんなんだったっけ……」という方はこちらの記事をご覧ください。

www.kakidashitaratomaranai.info

 

 

前置き

レビューに入る前に、アーサー王映画において僕が重視するポイントなどを軽くお話ししておきます。

 

アーサー王伝説は世界的に有名であるため、必然数多くの映画がこれまで制作されてきました。1990年代までの時点で実に40本以上も作られていた*1ようです。

 

と言っても、日本で鑑賞できる数はかなり限られています。

そして正直なところ、あんまり古い作品はどうしても観る気が起こりにくい、というのが僕の本音なんですね……笑

(映画界へのリスペクトに欠けていてすみませんm(__)m)

 

なので今後のシリーズ記事では、著名な作品 or 近年の作品*2に絞って取りあげていく予定です。

 

また、映画を比べるためのポイントとして、アーサー王伝説を以下の3要素にざっくりと分けてみました。
本当はもっと細かくできますが、分かりやすさ重視です 笑

①〈戦記〉……戦争や戦闘の迫力

 

②〈ファンタジー〉……魔法や呪術などの神秘

 

③〈ロマンス〉……騎士の栄誉や恋愛

 

ただし、この3要素全てが含まれている必要はありません。
(アーサー王文学でも作品ごとにテイストが異なりますし)

 

それぞれの映画でどの要素が強いのか言及するとともに、僕の個人的評価を★の数でつけています。

これは星2なら「★★☆☆☆」、星4であれば「★★★★☆」といった具合です。
(最高評価は★5つ)

 

また参考としてヤフー映画の点数も一緒に載せました。

まぁ、こちらはわりと厳しめな評価をつけがちな気もするんですけどね……たとえば、『アナと雪の女王』が3.66点/5点ですし 笑

 

なお、僕は役者や監督に詳しくないので、その辺は映画の評価自体には影響しません。

 

では、前置きが長くなってしまいましたが、ここからレビューに入っていきます!

 

あらすじと予告映像

地球上のすべてが混迷している時代。野望に燃えた豪勇たちの争いが続いていた。

そんな中、魔法使いマーリンから王者の剣エクスカリバーを授かったウーサーは次々と豪族を平定し王として君臨する。

しかし本当の悲劇はここから始まる。やがて誕生するウーサーの息子アーサーが背負う苦難と絶望とは——。

語り継がれるアーサー王の伝説を壮大なスケールで描いた、一大エンターテイメント。

 

出典:『エクスカリバー』DVDより。太字は筆者による。

 

やけに画質が悪い上に全部英語ですが、一応予告映像も貼っておきます 笑

www.youtube.com

 

『エクスカリバー』(1981年)の感想・レビュー

評価と情報 

公開年:1981年
上映時間:140分
監督:ジョン・ブアマン

 

個人的評価★★☆☆☆
ヤフー映画の点数:3.14点/5点
ひとことコメント:現代から見ると「アーサー王伝説ファン向け」の映画

 

アーサー王映画としておそらく一番有名なのが、1981年公開の『エクスカリバー』です。

本作は、アーサー王伝説の原典として、いの一番に挙げられるトマス・マロリーの『アーサー王の死』を原作として制作されています。

 

そのため、アーサー王映画として極めて正統派な作りになっていると言えるでしょう。

ストーリーの大まかな流れを整理しますと、

①先王ウーサーとイグレイン妃の同衾、アーサーの受胎

 

②アーサー、王に即位し国を平定。円卓の騎士団結成

 

③ランスロットとグィネヴィア王妃の邪恋

 

④騎士たちによる聖杯探索

 

⑤モルドレッドの反逆、栄華の終焉

なので、押さえるべきところはわりと描けています。

 

また、アーサー王伝説を構成する3要素、〈戦記〉〈ファンタジー〉〈ロマンス〉のいずれも含まれていると言えるでしょう。

 

なので、まさしく「THE・アーサー王映画」です 笑

 

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©Orion / Photofest / ゲッティイメージズ

アーサー王とグィネヴィアの結婚 

 

どうしても古さが目立つ

念のために書いておきますが、僕はこの映画がわりと好きです。
ただ、人には薦めにくいなぁという意味で評価を「★★☆☆☆」としました。

 

いかんせん1981年の映画なので、どうしても演出の古さ・粗さが目立ってしまうんですね……笑

長編を2時間に収めたことによってダイジェスト感が漂い、人物像の魅力が薄くなっていたり、ストーリーが分かりにくくなっていたりしていたように感じます。

 

アーサー王伝説にあまり詳しくない人が初見で『エクスカリバー』を鑑賞すると、「話がよく分からなかったぞ??」となる可能性大ですね 笑

情報量が多いので、既に物語を知っている人でないと理解が追いつかないと思います。

 

本作が日本で公開された時の興行成績は全く良いものではなかったようです*3が、それもストーリーの分かりにくさが関わっていたのでしょう。

日本においてアーサー王伝説の知名度は高いものの、その中身自体はよく知られていないですから、余計に内容が伝わらなかったんでしょうね……。

 

一方、アーサー王伝説が広く知られている、アメリカ・イギリス・フランスでの興行成績は大成功を収めました。

海外のファンの間では、「『エクスカリバー』がアーサー王映画で一番の傑作である」という評価になっているようです。

 

ちなみに、ストーリーの分かりにくさ以外にも、「殺陣がモッサリ」「CGがチープ」といった欠点がありますが、まぁこれは1981年の作品であることを考えれば、目を瞑らないといけません 笑

いや、殺陣がモッサリしてるのは逆に現実的なのかも……?

 

アーサー王伝説ファン向けの映画

難点ばかり書き連ねてしまいましたけれども、熱烈なアーサー王伝説ファンが見る分にはいい映画なんじゃないかな~、と言えます。

 

実際僕は、

「おお、煌びやかな鎧に身を固める騎士たち……かっこいい!!」

「ランスロット!ランスロット出てきた!!」

「あ、この部分は〇〇と△△を混ぜて改変してるんだな!!」

という風に、なんだかんだと終始楽しんで観てました 笑

 

特に、騎士たちの鎧や城塞など、(一部除く)ビジュアル面での「アーサー王伝説らしさ」は、今見ても優れているでしょう。

 

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©Orion / Photofest / ゲッティイメージズ

ランスロット VS アーサー王 

 

アーサー王伝説に欠かせない、騎士同士による馬上槍試合も、中世当時を思わせる正確な所作になっていたように思います。
(時代考証に詳しくないので断言はできませんが……)

 

改変されているところもある

長編の『アーサー王の死』を2時間あまりの尺に収めるのは流石に無理があるためか、いくつか改変がなされています。

大別すると、

①ストーリーの変更

 

②大筋から外れるエピソードをカット

 

③ひとりの人物に何人かの要素を持たせる

の3つです。

 

たとえば、「あらすじ」の項に

魔法使いマーリンから王者の剣エクスカリバーを授かったウーサーは次々と豪族を平定し王として君臨する。

 

とありましたが、エクスカリバーを最初に授かる人物といえばアーサーですし、この時点からして展開が異なっています 笑

 

原作とストーリーが違うというのは評価の割れるところかもしれませんが、僕は肯定的に受け止めています。

つまりは、どんな改変がされているのかを観る、というマニアックな(?)楽しみ方をしてました 笑

 

では、個人的に印象に残った『アーサー王の死』からの改変点を、ひとつ書いておきます。

ここからは、ネタバレかつ、オタクによるオタクのための語りになりますので、「おわりに」まで飛ばしていただいても大丈夫です 笑

 

〔『エクスカリバー』におけるパーシヴァルの人物造形・描写〕

騎士に憧れキャメロットまでやってきたパーシヴァルは、そこで台所の手伝いをするよう命じられます。

 

「台所の手伝い」を命じられた人物といえば、ガウェインの弟であるガレスです。
こうしてパーシヴァルにガレスの要素が足されているため、ガレスは登場しません。 

 

え……??ガレスが出ないとストーリーがわりと変わるやん……??

ガレスがランスロットに殺され、それにブチ切れたガウェインが、仇を討たんとランスロットに挑んでいくところ、わりと物語の見せ場なのにもったいない……!!笑

 

そして無事に騎士となったパーシヴァルは、やがて聖杯探索を成就します。

 

『アーサー王の死』で聖杯に選ばれた騎士は、ランスロットの息子ガラハッドですが、ガラハッドは登場しません。

そう来たか……確かに、ガラハッド出そうとすると、ちょっと話がややこしくなるからな……笑

 

パーシヴァルは、反逆者モルドレッドを斃すも瀕死となったアーサー王に、エクスカリバーを湖に返還することを託されます。

 

その役目はベディヴィアが果たすはずでは……!!笑
まぁ、ベディヴィアの活躍場面ってそれくらいしかなくて影薄いし、しょうがないか……。

よって、ベディヴィアは登場しません。

 

上記の改変点は一部に過ぎません。

他にもまだまだあるので、アーサー王伝説ファンの方には是非とも探していただきたく思います 笑

 

なお、『アーサー王伝説万華鏡』という本に、映画『エクスカリバー』の改変点について詳しく書いてあるので、興味のある方は図書館などで読んでみてください。

 


アーサー王伝説万華鏡
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おわりに

映画『エクスカリバー』についてご紹介しました。
ポイントをまとめましょう。

〇アーサー王映画で一番有名な作品

 

〇おすすめ度は低め

 

〇トマス・マロリーの『アーサー王の死』が原作

 

〇〈戦記〉〈ファンタジー〉〈ロマンス〉のいずれも含まれている

 

〇いろんな面で古さが目立ってしまう

 

〇ビジュアル面では優れている

 

〇今となってはアーサー王伝説ファン向けと言える

 

そして、僕と馬上槍試合ごっこをやってくれる方を募集しています。
興味のある方はご連絡ください。

すみません、ジョークです。

 


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【関連記事】

www.kakidashitaratomaranai.info

 

参考文献

〇高宮利行『アーサー王伝説万華鏡』中央公論社(1995年)

〇アンヌ・ベルトゥロ『アーサー王伝説』創元社(1997年)

〇マーティン・J・ドハティ『図説 アーサー王と円卓の騎士』原書房(2017年)

 

*1:高宮利行『アーサー王伝説万華鏡』中央公論社(1995年)より。

*2:ここでいう「著名な作品」の判断基準は、以下の書籍に基づいています。

〇アンヌ・ベルトゥロ『アーサー王伝説』創元社(1997年)

〇マーティン・J・ドハティ『図説 アーサー王と円卓の騎士』原書房(2017年)

*3:高宮利行『アーサー王伝説万華鏡』中央公論社(1995年)より。