書き出したら止まらない

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『いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら』感想

――お願い、プロの世界に辿り着いて

 

どうも、トフィーです。

今回は、MF文庫Jのライトノベル『いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら』について紹介いたします。

小説家を目指す、一人の少女と二人の少年たちの物語。
「(プロ・アマ問わず)一度でも筆を執った経験がある方」、あるいは「小説を書くこと自体に憧れの気持ちを抱いている方」には、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。

 


いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら (MF文庫J)

 

 

 

1.あらすじ

柊海人の日常は全てが灰色だった。可愛い妹と何かと気に入らないことがあればすぐに激昂してしまう父。アンバランスな家庭を守るため、アルバイトに明け暮れ、将来のことなんて考えられなかった。

天谷浩太の日常は全てが虹色だった。幼いころから欲しいものは何でも与えられ、何をしたって上手くいった。そんな二人に文芸部部長・神楽坂朱音は小説の世界の素晴らしさを説いた。そして、囁く

「君たちのどちらかがプロデビューして、私を奪って欲しい――」

いびつな関係の3人が小説という名の戦場に出揃うとき、物語は動き出す。小説に魅せられた少年少女が贈る、本物の青春創作活劇!

引用:いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら (MF文庫J)

 

 

2.『いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら』感想・レビュー

 

a.評価と情報

評価:★★★★★
MF文庫J
2020年8月刊行  

 

作者は永菜葉一先生。
『もう異世界に懲りたので破壊して少女だけ救いたい』『幼馴染が引きこもりの美少女なので、放課後は彼女の部屋で過ごしている(が、恋人ではない!)』など、これまでは角川スニーカー文庫から何冊かの作品を出されていたようです。

 

今回は(いつも以上に)主観たっぷりで星5評価をつけました。
というのも、昨年から新人賞に応募し始めた身としては、グサグサと刺さるものが多かったのです。
詳しくは以下で語ります。

 

 

b.作品内容

多少なりとも執筆にチャレンジした経験がある方ならば、「わかる~‼」と首を縦に振ってしまうシーンがいくつもあります。
そして今作では明るいあるあるネタだけでなく、暗い負の部分をもしっかりと描写されており、特に主人公の一人・柊海人(ひいらぎ かいと)にはずっと共感しっぱなしでした。 

 

彼は創作の知識がまったくのゼロ。
ヒロインの朱音に手を引かれて創作の世界に飛び込んでから、彼は様々な壁にぶち当たります。
たとえば、初めてPCを前にして、なかなか第一歩を踏み出せずにいたシーン。
彼は創作をすることへの「羞恥」にとらわれて、なかなか文字を打つことさえも出来ません。
またたとえば、初めて酷評を受けたシーン。
彼は自身の人格までをも否定されたと思い込んでしまい、酷く落ち込んでしまいます。

 

創作の経験がある方ならば、その時の彼の心情に深く寄り添うことができるかと思います。
ひたすらに葛藤し、取り乱し、投げ出しそうにもなる。
それでも創作の魔力に引きずり込まれた彼は、「書きたい」という思いに突き動かされて壁へと立ち向かいます。
そして時には努力が報われて、これ以上ないほどの喜びを噛みしめるのです。

 

この物語は、昨今のライトノベルの中でも珍しく、ダブル主人公形式で進められます。
海人パートの魅力については以上で触れた通りですが、もう一人の少年・天谷浩太(あまやこうた)のパートにも、また違った魅力が込められていますので、気になった方はぜひ手に取って見てください。
二人の少年が物語を通してぶつかり合い、共鳴しあう様は見ていて最高です。

 

c.キャラクター

神楽坂朱音(かぐらざか あかね)

「私ね、恋愛観とかそういう真っ当な感情が……少し壊れてるの。私という人間は同じ道をいく人にしか寄り添うことが出来ない。だからね、もしもキミが本気で私を欲しいと思うのなら――お願い、プロの世界に辿り着いて」(本文より引用)

本作のヒロイン。
表紙に描かれている、燃えるような赤い髪の少女。

 

二人の主人公、海人と浩太を創作の道に引きずり込んだ張本人。
年上のお姉さん(かわいい)
よく突拍子もない行動を起こし、海人と浩太をドギマギさせる(めちゃくちゃかわいい)
上の引用からもわかる通り、小説に魅せられていてプロの世界に執着している。

 

 

柊海人(ひいらぎ かいと)

この物語における、主人公の一人。
働かずに酒と暴力に溺れる父。
帰って来ない母。
彼はそんな二人の両親のもとに生まれ、極貧生活を余儀なくされてきました。

 

妹の進学と夢を叶えるために、ハードなバイト生活を送ってきた彼ですが、ある雨の日に限界を迎えてしまいました。
彼はアスファルトに倒れたまま打ちのめされていましたが、偶然居合わせた朱音に手を引かれ、小説家になり生計を立てるという道を見つけます。

 

またネット投稿サイト『カクヨム』に投稿するようになってからは、同じく彼女から師事を受けているという浩太を超えることを目標とし、出会う前からライバル心をたぎらせていました。

 

天谷浩太(あまや こうた)

この物語のもう一人の主人公で、海人とはなにかと対照的な存在です。
幼いころに朱音に声をかけられ、彼女の側にいるために物語を書き始めます。
そしてそのうちに書くことの「楽しさ」にのめり込み、書き上げてきた物語はカクヨム でも上位へと上り詰めました。

海人とは違い「プロになりたい」という思いは抱いていませんでしたが、彼と出会ってから勢いあまって……(この先は本編で‼)

 

 

 

3.おすすめ作品・関連リンクなど

『いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら』を読んだ方には、以下の本もおすすめです。

 

『私が大好きな小説家を殺すまで』

もうこのブログでは、クドいほどにとりあげている作品です。
ゴーストライターの少女と、物語を書けなくなった小説家の青年による、「共依存」の物語です。
この作品では、「書くことへの苦しみ」「より優れた他人への嫉妬」など、負の部分が巧みに描かれています。
かなり暗めのテイストではありますが、恋愛小説としても非常におすすめです。

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