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【感想】『サイコろまんちか』を読めば、笑いながら心理学を勉強できる

今から10秒間

決してエロいことを考えないでください

『サイコろまんちか』第ニ巻 心理的リアクタンス より

考えるなと言われると、考えてしまいますよね。  

これを、超クールな女教師に面前と言うのがこの漫画の面白さ。


数々のレビューサイトで必ず☆4以上を叩き出しているものの、そもそも読んでいる人が(僕の周りには)全くいない伝説的に最高な漫画『サイコろまんちか』(小出もと貴)全三巻(2014∼2015)をどうしても布教したい。

「マンガボックス」というアプリで連載された漫画で、巻数も少ないため知っている人は少ないと思われます。


『サイコろまんちか』のあらすじ

変人女伊東ちゃん率いる「心理学研究部」が、学校の相談者の悩みを解決したりしなかったりするコメディ―漫画。具体的には、「舐められがちなデブ」や「モテたい女」「背伸びしてるキョロ充」と、全然応援したくならない生徒ばかり。

初めは、伊藤ちゃんと阿部だけだが、徐々に部員が増えて五人になる。


『サイコろまんちか』の感想 

最初は変人女伊東ちゃんと残念イケメン阿部くんの二人だけなんだけど、どんどん登場人物が増えてくる。変態腐女子江崎さん、頭良いヤンキー宇堂くん、完璧超人千条さん(かわいい)。ただ会話してるだけなのに、話の展開やちょっとした比喩が面白くて永劫に読んでいられるマンガです。バトル漫画の熱い展開っていうわけではないのに時間を忘れて読み入ってしまいます。時間が一瞬ですよ、一瞬。僕はこの漫画を読み始めた時高校二年生の冬、電車の中だったのですが、読み終わったら大学一年生になってました。浦島太郎とマブダチになれるわこりゃ。

心理学の面白さって、日常生活のなんかよくあるけど名称の分からない「アレ」を名称化・一般化してくれるところですよね。学生生活でもその「アレ」というのはたくさんあります。

・自分の友達が嫌いなヤツと仲がいいとモヤモヤする「アレ」(ハイダーのバランス理論)

・テスト答えが2と3で迷ったとき、その中間みたいなよく分からん文字で誤魔化す「アレ」(トップダウン処理)

・数年付き合った恋人と「今までの時間が勿体ない」という感情で別れられない「アレ」(サンクコスト効果)

それらを漫画で面白く読めるのがこの漫画のいい所。

 ただ、勘違いしてほしくないのは、1ミクロンも「勉強漫画」ではありません。ギャグ漫画です。ギャグマンガ。なので、読み終わった時には出てきた難しい用語全部忘れます。でもいいじゃない、もう一回読んだときまた面白いんだもの。

 


この漫画の最大の魅力は心理学が勉強できるところなんかではない。キャラクターの人間性が妙にリアルなところです。この漫画、絶対作者の黒歴史詰め込んである。キャラ自体は、「変態」とか「ヤンキー」とか「天才」とか「冷血女教師」すごくありがちな設定なんだけど、皆すごくリアルな隠し事してたりします。変態女の江崎さんは『もしもしピエロ』『クレージーキャッツ』『八雲真』などのハンドルネームを使用していることが伊東ちゃんによって暴露されるし、ヤンキーの宇堂くんは昔『ブラッケスト』というバンドをやっており、「ブラッケスト 宇堂 かっこいい」でエゴサしています。なんなら自分の中学時代と重なるところがありまくるので読んでいて刺さる刺さるグッサグサ。

 


個人的にこの漫画の加野君というキャラがめちゃくちゃツボでクリティカルヒットしてます。(この漫画は名脇役が多すぎる)

靴ひも結んでたら皆から追いていかれるタイプの人間いますよね。発言力がないというか、発言が重視されない人というか。僕もそういう立ち位置に陥った経験があるのその辛さはものすごく良く分かる。

それの典型が加野君。

そんな「脇役」の自分に悩みを持つ加野君。彼は、グループの脇役かつウザキャラとして扱われることに不満です。これを自己不一致というらしいです。

 

自己不一致を起こした人間がとれる選択肢は、理想を追い続けるか、理想を下げるかの二つに一つです。
雑魚キャラは雑魚キャラらしくわきまえよ、とうことですね。(なんか…こう…胸が痛くなるはなぜでしょう………。でもなんか痛気持ちいいというかなんというか)

ちなみに加野君は、この日をさかいに自分をわきまえて謙虚な人間になりました。この後も加野君は活躍しまくりますので、その様子はご自身の目で確認してもらえればと思います。

このように、心理学の中でも我々の心に刺さるやつがチョイスされているので、爆発力のある面白さではありませんが、恐らく僕が人生で一番読み返すマンガになると思います。キャラのやりとりが子気味よく何回も見ていられるし、単純に勉強になるので知識を再確認したくなるのです。本当にいい漫画だ。それだけに続編が出てほしい。作者の小出もと貴さんは最終巻の終わり書きで以下のようにおっしゃってます。

 

いつか続編などを発表できたらいいなという思いから、最終話にはあえて「last」という単語を外してもらいました。またどこかで!

 

いや頼みますよ、本当に。