どうも、トフィーです。
今回はスタングレー・ミルグラムの『服従の心理』を紹介させていただきます。
難しくて腹立ったから意地でも簡単に説明しちゃおうということで、今回記事にしました。
まず初めに、必ずしも「権威=悪」というわけではないです。
思考停止はあきまへんけど、服従が役に立つこともあるんですわということを心にとどめつつ、見ていこうかと思います。
1.スタングレー・ミルグラム『服従の心理』感想と超簡単な解説
a.『服従の心理』の内容
権威が命令すれば、人は殺人さえ行うのか?
人間の隠された本性を科学的に実証し、世界を震撼させた通称〈アイヒマン実験〉 その衝撃の実験報告。
心理学史上に輝く名著の新訳決定版。引用:服従の心理 (河出文庫)
要するに、「権威に命令されれば人間はどこまでも残酷になれちゃうんですよ。人間って怖いねー」という内容の本です。
そう言う根拠として、1961年にイエール大学で行われた「ミルグラム実験」というものがありまして、本書ではその内容の説明をしています。
じゃあその「ミルグラム実験」ってなんじゃらほいと気になった方は次でゆるく解説します。
b.ミルグラム実験って?
先ほど触れたように1960年にイエール大学で行われた実験です。
この実験では「先生」「生徒」「学者」の3人だけしか登場しません。
まずはそれぞれの役割を確認しましょう。
先生役:実験の対象。募集して集められた一般人。生徒が問題を間違えるたびに電流を流す。
生徒役:役者。ペーパーテストを受ける。
学者役:役者。先生役がボタンを押すのをためらったら、言葉巧みに声をかける。
そしてこんな感じで実験が進められていきます。
①電流が流れるイスに生徒役が座ります。
そしてペーパーテストを受けていきます。
②先生は生徒が問題を間違えるたびに電流を流します。
ちなみにこの電流の威力は、最初はザコザコ。
ただし流すごとに、強さがレベルアップしていきます。
最後はくらえば死ぬレベルです。
③けれども、実際には電流は流れていません。
生徒役はプロの役者です。
めちゃくちゃリアルに痛がる演技をします。
④だから先生役は、本当に電流が出てると思い込みます。まさかあのイエール大学の実験で、ドッキリを受けるはめになるとも思いませんしね。
⑤先生役は当然「あれこれやばくね?」と思うわけです。当然押すのをためらいます。
⑥そこで口を開くのが学者役。彼らは先生役がためらうたびに、「大丈夫マジで死んだりせんから」「この実験はめっちゃ社会のためになるから」「いいからいいから」と言葉巧みにボタンを押すようにすすめます。
そうして実験を進めた結果……。
なんと、2/3の参加者が、電流のレベルがマックスになるまでボタンをポチポチ押し続けてしまったのです。
生徒役がめちゃくちゃ痛がっていて、今にも死にそうになっているにも関わらずです。
※ちなみに似たような実験が世界各地で行われて、だいたい同じような結果が出たらしいです。
c.ミルグラム実験でわかったこと
たとえ一般人でも、権威のある人に指示されることで人を殺してしまうようになってしまうのです。
人間は本人でも気がつかないうちに、どこまでも残酷になってしまえる生き物であることが判明したのです。(おおげさな表現ではありません。歴史を見ても実例がたくさんあります)
思考停止してホイホイと残虐な指示にさえも従ってしまうような状態を「エージェント状態」といいます。
2.エージェント状態
a.エージェント状態とは
「エージェント状態」とは、色々思いつつも恐ろしい指示に従ってしまう状態。
自分は偉い人に言われてやってるだけだからと、思考停止しちゃってる状態なんですね。
そしてこの状態になってしまったら、権威のある人の声は大きく聞こえてしまう一方で、権威のない人の声は耳に入ってこなくなります。
被害者や、それを止める友人や同僚の声もまったく聞こえないのです。
またこの時、命令に従う責任感はマックスです。
一方で、やってること自体にはなにも感じなくなってしまい、被害者に対して責任感を持たなくなります。
そしてこの「エージェント状態」の一番やっかいなところは、一度はまればもとに戻るのがかなり難しいという点です。
状況が進むほど引くに引けなくなってしまい、自分自身は悪くないと「正当化」していくからです。
それだけではありません。
いや「問題を間違えるやつが悪いっしょ」と、むしろ被害者を悪者として見るようになっていってしまいます。
やべえ。
b.エージェント状態の実例
ナチスのホロコースト
オウムの地下鉄サリン事件
自粛警察
家庭内暴力
他
c.エージェント状態にならないためにすべきこと
ずばり権威と大義名分を疑うこと!
結局これにつきます。
口調が強い意見でも、自分よりもずっと立場の高い人の意見であっても、あるいは「誰かのためになるからといった」といった大義名分が掲げられていたとしても、まずは一度立ち止まる。
そして、冷静に疑ってみる。
そうすることで、エージェント状態を回避できる……かもしれません。
簡単ではありましたが、とりあえず解説はこれでおしまいです。
色々説明してきましたが、きっとぼくは明日のうちに綺麗さっぱりと忘れて思考停止していることでしょう......。