書き出したら止まらない

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【感想】映画『リズと青い鳥』の一体何が良かったのか可能な限り言語化した

寄稿いただきました!

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まずはこちらのPVを。


『リズと青い鳥』ロングPV

 

響け!ユーフォニアムという作品をご存じだろうか。

知らないという人はまずはそちらから見て欲しい。

知らなくてもリズと青い鳥を楽しむこともできるが知っておいた方がより深く没入できるのでできれば見て欲しい。

 

響け!ユーフォニアムとは黄前久美子(おおまくみこ)が属する北宇治高校吹奏楽部での日々を納めたアニメである。

 

リズと青い鳥では黄前久美子が二年生のときの話であるが、この作品では彼女は完全なるモブと化している。とある3年生2人にスポットを当てており、この作品だけを見た人は黄前久美子が本編の主人公だとは到底わからないだろう。

 

その3年生とは、一人はフルート担当の傘木希美(かさき のぞみ)(下図 左)。もう一人はオーボエ担当の鎧塚みぞれ(よろいづか みぞれ)(下図 右)。

 

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©リズと青い鳥

 

あらすじに感じてはこちらの公式サイトのものを読んでください。

私が書くよりもはるかに優れていますから。 

 

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©リズと青い鳥

 

 

 

狂気的なまでの音へのこだわり

この作品を語る上で外せない点が大きく二つある。そのうちの一つがである。

もともと吹奏楽を題材に扱っているシリーズなので、シリーズ通して演奏シーンを始め音には拘っているというのがひしひしと伝わってくる。しかし、その中でもこの作品への音への拘りは狂気といって差し支えないほどに作り込まれている。演奏シーンはいうまでもないが、日常の音でさえオーケストラが奏でているような壮大さがそこにはあり、それでいて静謐な響きがそこには確かにある。

 

映画館で見られなかったのが悔しくてたまらない。

がしかし、ある意味映画館で見ない方がいい側面も持つ。

なぜなら映画館ではどうしても誰かしらのポップコーンを啄む音が周りの人の姿勢を変える音が邪魔をするからである。

この作品の前では身じろぎ一つ、呼吸音すら憚られる。

まちがってもそのへんのスピーカーで聴かないで欲しい。

少なくともイヤホンやヘッドホン、それも高品質のやつで聞いて欲しい。

 

みぞれと希美が廊下を歩いている音をただ流すだけの1時間でも金を取れること間違いない。すくなくとも私は買う。

すべての足音に意味があり、感情がある。

 

 

目を閉じればそこには在りし日の学校の記憶が鮮明に浮かび上がり、そこには彼女らの青春が存在する。

 

 静かな映画

この作品は人によっては盛り上がりに欠けると感じてしまう人もいるだろう。現にそういう感想も散見された。そう感じる人がいるのもしょうがない。

みぞれの羽ばたいた演奏シーンこそあれど基本的に凪のような穏やかな映画と言える。しかし、だからこそ小さな波が目立つそんな作品と言える。大きな荒波を好む人には視認できないほど繊細な波がそこにはある。

メイン二人が感情を吐露する場面があるのだが、それさえも声を荒らげ泣きわめくような表現をしなかった。あくまでも静かにそれでいて芯のある感情を爆発させる。丁寧にそして繊細に。

みぞれは元来口数が少なく。声も小さい。それ故に言葉から、その表情から読み取れるものは少ない。見逃してしまいそうなほどに小さな変化に、演奏に彼女の内に潜在する感情が込められている。

 

 

作画のこだわり ガラス越しにみているような

この作品を語る上で欠かせない点の二つ目は作画である。

従来のユーフォテレビシリーズから大きくキャラデザを変更しよりリアルよりの作風となっているが、これがなんとも素晴らしい。これほど繊細な物語をアニメチックな作画でやるとどうしても乖離ができてしまう。キャラデザを変更したことで批判もあったが良い決断だったように思う。気を抜くと実写映画を見ているのではないと錯覚させるほどの画の煌びやかさ。髪の毛一本一本繊細に描かれている。

あまりにも繊細なこの物語にずかずかと踏み込んでいくような不躾な画ではなく、ガラス越しにこっそりと二人の少女の行く末を見守るような画にアニメーターの熱意が感じられる。先ほども申したようにこの映画は静か。そのため、微かな音で、微細な動きで感情を想いを表現する。音を出すことは憚れるし、瞬きすら躊躇われる。

この作品に大きく尽力された方の何人かが例の火災によって亡くなってしまったことは痛恨の極みとしかいいようがない。非常に残念でならない。

 

 

 

声優

メインの方々はいわゆる間違いない声優なのであえて言及することは避けたいと思う。当然のように素晴らしい演技。

ここでは声優ではない声優の話をしよう。本田望結さんである。

この作品はみぞれと希美の現実パートと、リズと青い鳥の童話パートを並行して進行していく。童話パートのメインであるリズ青い鳥の二人を彼女が担当した。声優ではないにもかかわらず、二人の掛け合いを一人で演じる。非常に困難であることは想像に難くない。

彼女の演技は良い意味で下手だった。童謡パートは背景のタッチから声優の演技からなにもかにも浮いていた。あえて浮かせたのだろう。現実パートとの対比を色濃くするために。小さな子供が絵本を読み聞かせているようなそんなことを思い起こさせるような童謡パートになっていた。

現実パートでこんな演技をしていたぼろくそに叩きますが、逆にこの下手さが良かった。下手だからたまにリズと青い鳥どっちがしゃべってるか曖昧になるのですが、それがキーになるなんて思わないですよ。さすがは山田監督ですね。(山田監督は聲の形の監督としても有名です。)

 

 

 

使い慣れない言葉を使っていかにこの作品が素晴らしいかを蕩々と語ってきたわけだけど、ここからはオタク然として心のままに書きます。決してめんどくさくなったわけではありません。(もう3回はみたけどブログ書くくらいならもう1回見たい、いやあと5回は見たい)

 

BGM

剣崎りりかちゃんの登場シーンのBGMめっちゃ好き。

他のBGMも全部良いんだけどもあの気の抜けるようなBGMいい。

 

無駄のない日常会話パート

1回目ではただのなんてことのない日常会話でも2回目、3回目と回数を重ねていくとあ~そういうことか!ってなるのが多くて好き。使われない拳銃は作中に出てきてはならないみたいことばがありますけど、まさにそんな感じ。アニメである以上なんとなくそこに存在するなんてことはないんですよ。ふぐがでてくる意味も終盤だけメダカが出てくる意味も、ありとあらゆるなんてことのない描写に意味があるんだなーって何回もみて何回も感動しちゃうわな。りりかちゃんが途中で希美にゆで卵を渡すシーンも羽ばたける大空を持っているみぞれともうこの道では希美は羽ばたくことができない対比の暗喩になっているとか。語り尽くせない細かい描写がいっぱいあって何回でも楽しめる。好き。

 

あわない歩調

最後だけ二人の歩調があうんだよね。好き。

 

溝が明確に

 

最後のみぞれと希美の対話場面でみぞれは希美の好きなところ述べていくけど決してフルートは褒めないわけですよ。そこで希美はみぞれのオーボエが好きっていってそっちに話題を持って行ったのにみぞれは何もいってくれなくて希美の表情が微妙に崩れるの残酷で好き。

終盤で溝が明確になったからこそお互い大空に羽ばたく決心が付くのが好き。

 

 

最後だけみぞれの髪の毛左右に振れるのが好きなんだよなあああああ

 

ちょっと言語化できない好きが溢れてしまうのでここでやめときます。

まだまだ書けるような気もしますが。

とりあえず見て欲しい。好き。

dアニメストアっていう月学500円くらいでアニメいっぱい見られるところで配信されてるから。500円ぐらい僕がはらったるからみてくれや。好き。