このブログの共著者・トフィーに「もうちょっとアーサー王伝説以外の記事、増やさない……?」と言われたAuraです。そのうち書きます、他のジャンルも 笑
さて、アーサー王伝説の映画についてシリーズ記事でご紹介していますが、第2回となる今回は『キング・アーサー』(2004年)です。
(2017年の方の『キング・アーサー』を紹介する記事も、今後投稿する予定です)
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初回では、『エクスカリバー』をご紹介しています。
www.kakidashitaratomaranai.info
あらすじと予告映像
イギリスがブリテンと呼ばれ、ローマ帝国の支配下にあった時代——
ローマ軍の司令官アーサー(クライヴ・オーウェン)は、ランスロット(ヨアン・グリフィズ)を始めとする《円卓の騎士》を率いて反乱軍と戦っていた。
ある日、アーサーは無実の罪で囚われていたグウィネヴィア(キーラ・ナイトレイ)というブリテンの女性を救出する。その頃、ブリテンは残虐なサクソン軍の侵略によって滅亡の危機に瀕していた。
ブリテンとアーサーの運命を賭けた壮絶な戦いが、いま始まろうとしていた——。
出典:『キング・アーサー』Blu-rayより。太字は筆者による。
こちらが予告映像です。英語ですが雰囲気は伝わるかと思います 笑
『キング・アーサー』(2004年)の感想・レビュー
評価と情報
公開年:2004年
上映時間:126分
監督:アントワーン・フークア
個人的評価:★★★☆☆
ヤフー映画の点数:3.25点/5点
ひとことコメント:面白かったけど、史実と伝説とが半端にミックスされてたことが気になった
アーサー王伝説の3要素:
〈戦記〉かなり強め
〈ファンタジー〉ほとんどなし
〈ロマンス〉ちょっとだけある
(※3要素全てが揃っている必要はない)
2004年公開の『キング・アーサー』は、これまでのアーサー王伝説の映画とは異なるコンセプトのもとに制作されました。
すなわち、伝説そのものではなく「アーサー王のモデルになった人物」の事績を描いています。
言い換えれば、史実におけるアーサー王伝説の原型を映画にした、という感じですね。
アーサー王の歴史上のモデルについては様々な説が唱えられていますが、詳細については 時代背景を書くのがめんどくさすぎるので ここでは割愛します 笑
ひとまず、本作でのアーサーは、「ローマ帝国の指揮官として、ブリテンを守るため異民族と戦った人物」という認識をしておけばいいでしょう。
しかし、伝説らしい要素が全く出てこないというわけでもありません。
作品中にはアーサー王伝説でお馴染みの、ランスロットを始めとする円卓の騎士や、グウィネヴィアなども登場します。
ここで、もう一度パッケージ画像を見てみましょう。
キング・アーサー (字幕版)(Amazonへのリンクです)
↑ の左がアーサー、中央がグィネヴィア、右がランスロットです。
うーむ、容姿端麗なキャストたちだなぁ……
って、『キング・アーサー』なのに、アーサー当人を差し置いてグウィネヴィアが中央に陣取ってるではありませんか!! 笑笑
この中ではグウィネヴィア役の女優さんが一番有名ではありますが、アーサーがかわいそう……笑
グウィネヴィアを演ずるキーラ・ナイトレイは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのヒロイン、エリザベス・スワン役で広く知られています。( ↓ の右)
パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト (吹替版)(Amazonへのリンクです)
映像ソフト会社としては、『キング・アーサー』を彼女の魅力で売り込みたいのかもしれませんね 笑
そして『キング・アーサー』のグウィネヴィアについては、もうひとつ言えることがあります。先ほど貼ったパッケージ画像を再度見ていただければ分かりますが、矢をつがえていました。
すなわち、本作での彼女は、伝説に描かれる高貴な姫君ではなく「戦う女」!笑
これは、完全に本作のオリジナル要素と言えますかね……。
本作の根拠となった「史実」は否定されている
映画自体の評価とは直接結びつかないことですが、本作の問題点(?)は、もとにした「史実」が今日では否定されている、ということです。
史実をおおむね正しく描写できているところもあります。
例えば、先ほど本作でのアーサーは「ローマ帝国の指揮官として、ブリテンを守るため異民族と戦った人物」であると書きましたが、この点についてはまぁ~、いいんですよ。
ただ、部下として登場した円卓の騎士が「中央アジアにいた、イラン系遊牧民族のサルマティア人」だということになっています。
(アーサー自身もサルマティア人の血を引いているという設定です)
僕は世界史に疎いですが、曲がりなりにもアーサー王伝説関連の書籍をいろいろ読んできたので、「え?それは違うでしょう……。円卓は普通に(括りが雑ですが)ヨーロッパ起源っしょ」って思いましたからね 笑
「アーサー王伝説」として私たちが想像する物語は、主に今日でいうイギリス・フランス地域が発祥ですが、詳細は割愛します 笑
なお、本映画で採用された先ほどのトンデモ説は↓の書籍で唱えられています。
アーサー王伝説の起源 ―スキタイからキャメロットへ― 新装版(Amazonへのリンクです)
僕は世界史を知らない上に映画レビューから逸れてしまうので、ここで上掲の本について書くことはしません。
とりあえず、
「映画では、円卓の騎士がサルマティア起源ということになってるけど、それは違う」
と頭に入れておけばいいと思います。
※詳細を知りたい方は、外部サイトのこちらの記事をご覧ください。
かなり専門的に書かれていて難しいですが、勉強になりました……!
「アーサー王のモデル」が活躍する映画
「円卓の騎士がサルマティア人なのはおかしい」とここまで繰り返し書いてきました。
あとは、そもそも「史実のアーサー王を描く」というのが本映画のコンセプトなのに、伝説寄りの存在である円卓の騎士がバンバン出てくるのはどうなのかと言いたいですね 笑
すると、「文句ばかりだけど、じゃあこの映画の見どころは何?」という疑問が湧いてくるでしょう。
僕としては、本作を「アーサー王のモデル」が活躍する軍記映画として考えるなら楽しんで観れると思います。
部下の円卓は、名前だけ借りてるオリジナルキャラと割り切りましょう。
まぁ、よく知られている伝説とは異なっていても、円卓が出てくるだけでなんだかんだと僕は嬉しくなっちゃいましたけどね 笑(チョロい
本題に入るのが遅くなったので、改めて『キング・アーサー』の舞台設定や筋書きを、簡単に確認しましょう。
5世紀ごろ、イギリスは「ブリテン」と呼ばれ、ローマ帝国の支配下にありました。しかし、ローマ帝国は大陸の「本土」の防衛に手を取られるようになり、ブリテン島からの撤退を決定します。
当時、ブリテン島のローマ帝国軍は、支配からの独立を求めるウォード人及び、ブリテン島支配を目論み侵攻してくるサクソン人と対立していました。
そのような混迷した状況下において、ローマ帝国の兵士としてアーサーと円卓の騎士たちは「ハドリアヌスの城壁」の防衛任務にあたっていました。
兵役で課されていた防衛任務からは、定められた期日を迎えれば解放されることになっています。しかしその直前に、城壁の北に居住するローマの貴人一家を救出せよという命が下されます。
それを成し遂げれば兵役は終わります。しかし、ブリテン島からの撤退を決めたローマ帝国から満足のいく支援は得られません。
アーサーと配下の騎士たちは、危険な任務へと赴くことになります。
軍記映画なので、魔法を使うなどのファンタジー要素はほぼありません。あっても、せいぜい「トリスタンの弓だけめちゃくちゃ精度ええやん」くらいのものです 笑
かの有名なエクスカリバーも一応出てきますが、ただ「立派な名剣」といった扱いです。
映画では、アーサーと円卓の騎士たちはずっと馬に乗って戦ってます。メイキングでも、俳優さんが「馬に乗ってる時間が長かった……」って言ってました 笑
あ、監督が『七人の侍』が好きだと公言しているので、それをリスペクトしたのか、数百人を相手にしてわずか数人で応戦する場面もあります。
ブリテンをサクソン人から守るために戦うアーサーと円卓(とグウィネヴィア)の姿は、勇ましくてカッコよかったですね。
グウィネヴィアが戦ってるっていうのは、わりと違和感ありましたけど観てるうちに慣れました。
なお、こんな感じでグウィネヴィアが「戦う女」だからか(?)、アーサーとのラブロマンスはありません。厳密にはありますが秒で終わります 笑
映画にはランスロットも登場します。アーサー王伝説といえば、ランスロット×グウィネヴィアですが、この映画ではどうなるのかはご自分の目で観てみてください……!!
おわりに
映画の感想って難しいな……。
この映画、戦ってる場面がかなり多くて、ネタバレなしだと感想書きにくいんですよね 笑
戦闘場面自体は手に汗握る興奮があって良かったですよ!単純に、文で表しづらいということです。
『キング・アーサー』の良さが伝わっていれば良いのですが……。
字数が多いわりに中身が整ってない記事なので、そのうち書き直すかもしれません 笑
最後にまとめを書いておきます。
〇史実における「アーサー王のモデル」を意識した軍記映画
〇アーサーはローマの指揮官
〇円卓の騎士も(ほぼオリキャラだけど)何人か登場する
〇なんとグウィネヴィアまでもが戦う
〇戦闘場面が多く、迫力もある
〇僕の推しのランスロットがカッコいい。イケメン。つよい。惚れる。
次にご紹介するアーサー王映画は、2017年の方の『キング・アーサー』を予定しております!
それでは!!!
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参考文献
〇アンヌ・ベルトゥロ『アーサー王伝説』創元社(1997年)
〇マーティン・J・ドハティ『図説 アーサー王と円卓の騎士』原書房(2017年)