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森林梢『殺したガールと他殺志願者』1巻の感想とレビュー

「生きている=幸せ」と言えるのだろうか?

 

どうも、トフィーです。
今回は森林梢先生の小説、『殺したガールと他殺志願者』 を紹介させていただきます。

 

MF文庫の新人賞に選ばれた作品ですが、ライトノベルの中ではかなり独特な作風でした。
本作は、「理想の死に方」を求める物語です。 
冒頭の文は、あとがきを参考にさせていただいております。


殺したガールと他殺志願者【電子特典付き】 (MF文庫J)

 

1.あらすじ

『最愛の人に殺されたい』と願う高校生・淀川水面は、死神を名乗る女から一人の少女を紹介される。「貴方が殺されたい人ですか?」出会い頭にそんなことを尋ねる少女。名前は浦見みぎり。『最愛の人を殺したい』という願望を持つ少女だった。互いの望みを叶えるために、二人は協力関係を結ぶ。水面はみぎりに愛されるため。みぎりは水面を愛するため。「貴方には、私の理想の男性になってもらいます」「…分かった」「殺したくなるくらい魅力的な男性にしてあげますから、覚悟して下さい」こうして始まった、歪な二人の歪な恋路。病的で猟奇的で不器用な少年少女が最高のデッドエンドを手に入れる物語、開幕。

引用:殺したガールと他殺志願者【電子特典付き】 (MF文庫J) 

 

2.『殺したガールと他殺志願者』感想・レビュー

a.評価と情報

評価:★★★☆☆
MF文庫J
2020年11月刊行 
第16回MF文庫Jライトノベル新人賞《優秀賞》

 

まず☆3としましたが、この記事の執筆時にはAmazonレビューでは☆5オンリーとなっていました。(11月30日では、5/5が☆5)
そのため「刺さる人には、本当に刺さる作品である」ということをあらかじめ言及させていただいたうえで、次項ではぼく自身の感想を述べさせていただきました。

 

その前に、いつも通り作品の情報をさらっと紹介させていただきます。


作者は、森林梢(もりばやし こずえ)先生。
イラストは、はくり先生。

 

受賞時点での評価については、「 ライトノベル新人賞結果発表|MF文庫J オフィシャルウェブサイト」で確認することができます。
以下、引用文です。

 

今回の受賞作では、たとえば『殺したガールと他殺志願者』は読んでいくとのめり込んで行く魅力がありましたが、序盤に提示される設定が共感しにくいため導入がとにかく弱かったですし、

(榎宮祐先生)

 

優秀賞の『殺したガールと他殺志願者』は、独特の空気感と文章のセンス、そしてヒロインの可愛さが飛び抜けていました。個人的には結構好きなタイプのお話なのですが、危ういバランスの上に成立している作品であることは確かだと思います。

(さがら総先生)

 

優秀賞の『殺したガールと他殺志願者』は挑戦的なタイトルで、読む前は異常性癖の主人公とヒロインに感情移入できるかどうか正直不安でしたが、読み進めているうちに、自然とこの不器用なバカップルを応援していました。二人のイチャイチャした会話がとにかくエモくて悶え転がります。また心情や風景の描写に独自のセンスとこだわりがあるのも高評価でした。

(志瑞祐先生)

 

『殺したガールと他殺志願者』
 主人公とヒロインのやり取りだけで延々と読んでいられる。得がたい才能。このセンスを、いつまでも磨き続けてほしい。

(三浦勇雄先生)

 

独特な空気感と、主人公とヒロインの掛け合いが評価されたようですね。
また、2巻が出ることがすでに決定しています。

 

b.作品内容・キャラクター

「愛している人に殺されたい」という願望を持つ少年と、「最愛の人を殺したい」という願望を持つ少女の物語。 

 

主人公の少年・淀川水面(よどがわ みなも)は、自身のことを「死神」と名乗る女性と出会います。

 

「殺してほしいの?」
「いや、結構だ」
「ふーん」

(中略)

「俺は、俺のことを愛している人に殺されたいんだ」

引用:『殺したガールと他殺志願者』1巻

 

こうして怪しさ全開の死神相手に、水面は思いを打ち明けますが、彼女の提案により一人の少女と引き合わされます。 
その少女こそ、殺したガールこと浦見みぎり(うらみ みぎり)

 

彼女もまた、水面と同じく異質な願いをもつ人間だったのです。
その願いというのは、「最愛の人を殺したい」というもの。


互いの目的がマッチした二人は、願望をかなえるために交流を深めていきます。
水面は少女の求める理想の男性になるように努力し、やがて距離を縮めていき――。

 

というストーリーです。
冒頭のあらすじとほとんど情報が被ってしまいましたので、ここからは個人的な感想を交えつつもう少しお話していきます。

 

 

かなり変化球的な物語でした。
今回は☆3か☆4で迷って、最終的に☆3に。
『殺したガールと他殺志願者』ですが、合う部分もあったし、一方で合わない部分もあってそこが結構気になる作品でした。

まずは良かった点
水面とみぎりの掛け合いが、独特ながらほほえましかったです。
2人とも一般的な感性からは逸れているけれども、一緒にいるからこそ幸せを感じているし、それがうらやましい。


たとえば夜中に校舎に忍び込んだり、季節外れの夏祭り(ごっこ)をしたり……。
普通の人がやらないような経験を重ねていき、惹かれあっていくわけです。
「ああーっ 私も こんな恋が したいわ――――」(かぐや様並感)

 

 

……失礼しました。
とまあ、2人の関係を共依存ととるか、純愛とするかは人によって変わるかと思いますが、この点については楽しく読み進められました。

 

続いて、合わなかった点
『殺したガールと他殺志願者』ですが、文章が独特で癖があります。
これは文章力がないという意味ではありません。
地の文で、詩のように韻をふんでいきながら展開していくことが多く、自分的にはそれが合わなかったなぁ、という感じでした。
ただこの手の文章が好きな方は、本当にハマると思います。

 

 

 

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※この先、ネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

3.『殺したガールと他殺志願者』ネタバレありの感想

 

147ページ目から 面白くなってきましたね。


順調に愛を育んでいった2人ですが、主人公にとって想定外の事態に。 
みぎりの目的が心中へと切り替わっていたことが判明し、戸惑いを覚える水面。
その後、死神ことみぎりの姉に自分を殺すように依頼したり、さらにひと悶着あったり、主人公の謎と余命が開示されたり……。
怒涛の展開が続きましたが、そこからさらに2人が接近していって、エモさに拍車がかかりました。


ああ、ぼくも大学の自販機下に硬貨が落ちていないか2人で探したり、墓地で結婚式の予行演習をしたりしてみたい……いや、やっぱりいいです。
デート内容は通報案件のオンパレードですが、この2人だからこそ魅力的に見えるんですよね。

 

 

4.この物語を読んだ方におすすめの小説

ここでは『殺したガールと他殺志願者』を読まれた方に向けて、おすすめの小説を紹介させていただきます。

 

 

『サンタクロースを殺した。そして、キスをした。』

この作品が、かなりハマると思う。
本書に登場するキャラクターには名前がない。
「僕」「少女」「先輩」「悪友」など、地の文でも会話の中でも、固有名詞を避けるかのように話が展開していく。
そんな名無しの人物たちによって繰り広げられる、作中の言葉を借りるなら「負けている人の物語」であり「なにかを失っている人の物語」
どこにでもありそうで、ちょっぴりファンタジーな恋物語をぜひとも味わっていただきたい。

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『月光』

なんとなくですけど、ずっと前に読んだこの小説を連想しました。 
怪しく物騒だけど可愛らしい、そんなヒロイン像が似てるなぁと。

 

 

『さよなら世界の終わり』

『殺したガールと他殺志願者』よりもさらに、憂鬱さと淡白さを強めた作品。
こちらはますます人を選ぶけど、今作がハマった方はチェックしてみてください。

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ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
他にもいろいろな作品を紹介していますので、よければ覗いてみてください。 

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