どうも、トフィーです。本記事では、『未来年表 人口減少日本でこれから起きること』を紹介しようと思います。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
突然ですが、ぼくは近未来という舞台が好きです。作品を総括しての感想は置いておくとして、たとえばインフィニット・ストラトス、ギルティクラウン、虐殺器官やハーモニー、PSYCHO-PASSと、近未来的な世界観が心の底から好き。そんな作品に触れたときには、本当にワクワクします。
今まであまり口にしてこなかったが、ぼくは自分で小説もどきを書くこともあります。そして前述したような趣味のために、物語の舞台も近未来的な世界観になります。
そのために何か作品へのスパイスにでもなればと、面白そうな本を見つけては購入するということを繰り返してきました。結果、まったく触れずに積んだままにすることもあるが、まあ、きっといつかは読むでしょう。うん。
ということで、そんな活動の中で目を通した本を紹介していきたいと思います。自分への備忘録にもなるし、ブログの投稿数は稼げるしでいいこと尽くめです。
というわけで今回紹介する本はこちら。
『未来の年表』のざっくりとした概要
この本についての概要をざっくりと説明すると、国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口(2017年)」のデータを基に、日本の今後について「人口」という観点から分析していこうというもの。
第一部では、人口減少によって起こる出来事を、年表のように時代を追って説明しています。
そして第二部では、そんな人口減少によって起こる危機を解決、あるいは和らげるための対策を「10の処方箋」と題して取り上げています。
さすがに全部の出来事を取り上げるわけにもいかないため、いくつか印象に残ったもののみ紹介します。より詳細な内容について、気になった方は是非とも自分の目で確認していただきたい。
前編では、第一部の「人口減少によって起こる出来事」を紹介しましょう。第二部の処方箋については、また後編の記事をよろしくお願いします。(公開次第リンクを貼ります)
あらかじめ宣言しておくが、ぼくはこの本の内容について、すべてが正しいとは思っていません。けれども、SF的な近未来の舞台について、そのイメージを深めるための大きな手助けになるとは確信しています。
これからの日本で起きること
2036年 3人に1人が高齢者となる
→2035年には「未婚大国」となる。2039年には深刻な火葬場不足に陥る。国内死亡者数が約168万となりピークを迎える。そのために、霊園も不足する。
2040年 自治体の半数が消滅の危機に陥る
→20~39歳の女性の都会流出は、人口が減り始めた自治体には痛手となる。
青森市や秋田市のような県庁所在地さえもが、消える可能性がある。
日本創生会議の言う「地方消滅」とは、そんな女性の数が現在の半数以下となれば、たとえ残った女性の合計特殊出生率が改善しても、自治体の人口は減り続けて消滅してしまうということを意味する。
→「東京医療・介護地獄」の問題も。かつての若者が歳をとり、現在の勤労世代が地方の老親を呼び寄せることで、高齢者が激増する。ちなみに2042年には日本の高齢者数が3935万人となり、ピークを迎える。2065年には、2.5人に1人が高齢者となる。
2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
→日本の人口が減る一方で、世界人口は増え続けて100億になる。農水省の「2050年における世界の食料需給見通し」(2012年)では、この時点での世界人口を養うためには、2000年の1.55倍に引き上げる必要があると試算している。
→輸入食料をすべて自ら生産したら、どの程度の水が必要かを推計する、「バーチャルウォーター」という考え方がある。環境省によれば、2005年のバーチャルウォーターは、国内の年間水使用料とほぼ同水準。
→食料自給率が低い日本は、水の輸入大国とも言える。輸入に頼ってきたために、自国の水を使わずに済んできた。世界が困窮すれば、当然日本も食料争奪戦に巻き込まれる。
2065年以降 外国人が無人の国土を占拠する
→2050年時点で、現在の居住地の約20%が「誰も住まない土地」となる。特定の自治体や地域の土地を集中的に買い占めれば、武力を行使せずとも、合法的に日本国内に領土を作ることができる。
→国境警備を強化するには若い力が必要だが、少子化のために、人手不足となる。逆に高齢者が増えるために、いわゆる「災害弱者」や「犯罪弱者」が激増する。東日本大震災では半数近い自衛隊員が動員されたが、はたして今後はどうなるだろうか。
おわりに
以上、第一部の内容についてぼくが気になったものを取り上げました。どれもフィクションにあてがえば、面白い内容になりそうではないでしょうか?
食料争奪戦なんかはもろに使えるし、地方や未来の東京を夢想するための足がかりにもなるし、設定への説得力が増します。
どちらかといえば個人的に興味深かったのは、第二部の処方箋について。第一部の問題について十の対策が挙げられているわけですが、これは近未来についてリアルな舞台を整えるのに役に立つことでしょう。
当然ながら、ぼくみたいな不純な動機ではなく、真剣に日本の人口問題について学びたいといった方々にもおすすめです。
では、さようなら。